炎の一筆入魂BACK NUMBER
優勝が厳しいカープが目指すもの。
セ・リーグ全球団に勝率5割以上!
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKYODO
posted2019/09/02 20:00
8月27日の巨人戦に勝利し、タッチを交わすジョンソン(左端)ら広島ナイン。巨人には今季、勝ち越しが決まっている。
逆転優勝が厳しくても泰然自若。
広島の残り試合をただの消化試合にしてはいけない。もしかしたら、4連覇を逃した傷は、3連覇した栄光と達成感が癒やしてくれるかもしれない。ただ、頂点を逃した悔恨や、勝利への飢餓感は、広島の未来を変える。
昨オフに移籍した丸佳浩(巨人)や引退した新井貴浩氏だけでなく、シーズン中にはケガや不調で田中広輔や中崎翔太が戦列を離れた。ザビエル・バティスタの想定外の離脱もあった。8月31日と9月1日の2位を争うDeNA戦2試合は、30日の試合で自打球を受けた菊池涼介が欠場した。
スターティングメンバーの顔ぶれは、3連覇した昨年までとは大きく異なる。苦しいチーム状況の中、上位争いを続けた底力はある。逆転優勝が厳しくなった状況でも指揮官は「戦い方は変わらない。目の前の1試合、1試合に集中して戦っていくだけ」と泰然自若を貫いた。
「勝ち負けはどっちに転ぶか分からない」
シーズン最終盤になっても、選手の状態を見極めながらの起用が続いている。思うように積み重ねられない白星とは対照的に、チームとしてやるべきことはできている。他球団スコアラーも「上位球団の中で一番戦い方がしっかりしているのはカープだと思いますよ。状況に応じてしっかり内野ゴロを打つこともできるし、打席での狙いが見える」と数字に表れない点を評価していた。
主力を多く欠いた今季、広島の絶対的中心選手となった鈴木誠也も落ち着いた口調でチームを語る。
「やるべきことをやるしかない。やるべきことをできなければ勝てない。小さなミスが命取りになる。そこだけしかない。あまりゴチャゴチャ考えても、できることは少ないですから。シンプルに“ミスしない”ということだけをやって、それで負けたら仕方ない。勝ち負けはどっちに転ぶか分からない。やるべきことをやっていれば(勝利に)転ぶ確率は高くなります」