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積極策だけを選ぶ時代には戻れない。
松山英樹、今季未勝利も微かな光。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2019/08/29 07:00
勝利こそ挙げられなかったが、シーズンのポイントランクはキャリアで2番目となる9位で終えた松山英樹。来季の躍進に期待したい。
怖いものはもう無くならない。
今年のBMW選手権で松山は4日間のうち2回、ラウンドベストスコアをマークして無事に最終戦に進んだ。一か八か、というようなプレーはないままに。淡々と。
結局勝てなかったとはいえ、シーズンのポイントランクはキャリアで2番目となる9位で終えた。結果はさておき、彼にとっては終盤2試合で得た感触に胸のすく思いがする。
「(現状を)乗り越えるのは簡単じゃない。去年もいいとき、良くなりそうなときがあったけれど、なかなか続かなかった。でも、今の感じなら期待が持てそうな感じ」
いまは優勝を争う緊張感を久々に味わいながら、以前の感覚とすり合わせているところでもある。
「可能性……光が見えたっていうか。今までも見えてはいたけれど、“針の穴”が開いていたくらいだったのが、“ティ”で開けた大きさくらいにはなったかな。まだ小さいけれど、針がティになっただけで、自分ではすごく楽しいと思える。ティがそのうちストローになって……ストローの先は何がある? OBの杭かな?」
汗びっしょりでカラカラと笑った。
プレーオフシリーズの最中、松山は脇目も振らず、次のショット地点までずんずんと向かった。
「歩くスピードを意識して速くした。キャディは大変かなと思ったんですけどね」
怖いものはもう無くならない。覚悟を決めて、光のありかまで寄り添って行く。
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