才色健美な挑戦者たちBACK NUMBER
競泳を引退してもなお続く
松田丈志のスポーツ愛。
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/09/04 11:00
今はトライアスロンに夢中。
とはいえ、自分が頑張るというのは基本です。頑張らない人はあまり応援されないので(笑)、自分が頑張ることがまず中心にあって、そこにいかに自分の味方をしてくれる人を増やすかということです。
自分が頑張るという意味では、粘り強さが僕のストロングポイントだと思っています。
現役時代はスタミナ強化のために1日30km泳いだこともあって。通常10km泳ぐのに3時間ぐらいかかるので、三部練習にして9時間泳ぎました。そのときは1週間で120kmぐらい泳ぎましたね。
サーフィンやゴルフなど色々なスポーツをしていますが、今ハマっているのはトライアスロン。仕事もあるので現役の時と比べれば粘り強さは比較のしようがないけれど、忙しい時間の中でトレーニングの時間を捻出しているという意味では、きちんとやれていると思います。
運動している時間が一番好き。
今度、トライアスロンの大会に出場するんです。だから今は体を絞らないといけないタイミングです。
まず気をつけているのは食事。タンパク質をしっかりとって、炭水化物を少し減らしています。運動をしているとはいえ、現役の時ほど運動量は多くないので、糖だけに依存しないように気をつけています。ちなみにタンパク質は筋肉の再生に利用されないと脂肪として蓄積されるものもあるので、運動とセットで摂取した方がいいですよ。
もう1つの課題が下半身の強化。競泳選手の推進力は上半身が7割、下半身が3割と言われていて、どうしても上半身にたくさん筋肉がついてしまうんですよ。この上半身の筋肉はバイクをこぐときや、走るときには重りになってしまう。逆に下半身の筋力はバイクやランをやり込んでいる人から見ると弱いので、もっとトレーニングしないとダメだと思っています。
今でもやっぱり運動している時間が一番好きなんですよね。運動をしている時の方が体はもちろん、気持ちも整う感覚がありますから。忙しすぎて運動できないときもありますけど、仕事をすればするほど、自覚はなくてもストレスって溜まっていくじゃないですか。運動で発散できないとついお酒を飲んで発散したりして。すると、当然体も気持ちも循環が悪くなっていくんです。だから1日1回、わずかな時間でもいいから、運動をするということが自分にとってすごく重要なんです。
松田 丈志Takeshi Matsuda
1984年6月23日、宮崎県生まれ。4歳から水泳を始め、久世由美子コーチの指導の下、2004年アテネ五輪に出場。以降北京、ロンドン、リオと4大会連続で五輪出場を果たし、銀1個と銅3個のメダルを獲得。2016年9月に現役を引退。現在はスポーツキャスターやコメンテーター等、幅広く活動中。
新しいナビゲーターに俳優の田辺誠一さんを迎え、番組デザインもリニューアル。アスリートの「美学」を10の質問で紐解き、そこから浮かび上がる“人生のヒント”と皆さんの「あした」をつなぎます。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。
第71回:松田丈志(競泳)
9月6日(金) 22:00~22:24
元競泳選手の松田丈志さんは4大会連続でオリンピックに出場し4個のメダルを獲得。彼の原点にして原動力。それは体を動かすことが“大好き”という気持ちでした。さらに、松田さんを有名にしたあの名言に込められた想いと共に、チームで戦う競泳日本代表の秘話にも迫ります。
第72回:谷川真理(マラソン)
9月13日(金) 22:00~22:24
元トップランナーの谷川真理さんは陸上のエリートではなく、異色の経歴の持ち主。56歳になった今も現役で走り続ける彼女が“生涯現役”を決めた出来事がありました。その時、谷川さんの胸に去来した想いとは? 番組では、今夢中になっている書道の腕前も披露してくれます。