オリンピックへの道BACK NUMBER
丸山城志郎が貫いた自分の柔道。
66kg級は「阿部一強」ではない。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2019/08/27 11:50
井上監督が「世界最高峰」と評した男子66kg級。決勝戦で韓国代表のキム・インファンを破って優勝を決めた瞬間の丸山城志郎。
「でも、差はほとんどない」
丸山は11月のグランドスラム大阪で優勝すれば、(強化委員会の3分の2の賛同があれば、という条件付きだが)東京五輪代表に内定する。
とはいえ、丸山が悔しさをばねにしたように、阿部もこのままでは終わらないだろう。井上康生監督は言う。
「(五輪代表争いは)丸山が少しリードしたと思います。でも、阿部との差はほとんどないと思っています」
丸山もそれを自覚する。
「東京オリンピックで金メダルを獲るのが僕の目標なので、明日から気持ちを切り替えていきます。『丸山は強い』、と世界で言われるような柔道を目指したいです」
でも。
「今日だけは、浸りたいと思います」
涙と笑顔で、丸山は言った。
長年の屈辱と努力の日々を込めた、たった1日の、得がたい喜びの日だった。