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イチローが語る唯一無二の天才論と、
「鈴木一朗」と「イチロー」の距離。
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/08/31 11:30
イチローは2001年の渡米直前、「天才(と自分を)言うな!」と話していた時期があった。
先駆者だなんてちゃんちゃらおかしい。
まもなく、メジャー7年目のシーズンが幕を開ける。イチロー以降、日本人の野手が次々と海を渡った。時代を創った“先駆者”としての矜持があってもおかしくない。しかしイチローは先駆者と呼ばれることを拒む。
「だって、そんなことを僕が受け入れてしまったら、『キミはそんなに大きい存在なの』って言われてしまうでしょう。僕は自分がメジャーでやりたくて行っただけですから、結果的にどうなろうとも自分のためにやったまでです。後から『日本球界のためになった』とか、『先駆者』だとか、そんな解釈を僕にぶつけないでほしい。僕が先駆者だなんて、ちゃんちゃらおかしいですよ」
イチローはこちらの意図を見透かしたかのようにそう言い放って、笑っていた。
Number Books
『イチロー・インタビューズ 激闘の軌跡 2000-2019』
2000年、メジャーリーグ挑戦直前のインタビューから、2019年3月、現役引退直後にシアトルで行われたロングインタビューまで、「Sports Graphic Number」を中心に20年間、100時間を超える単独インタビューを完全収録!
彼が私たちに見せてくれた幾多のプレーと同様に、その言葉どんなときも美しく、力強い。
<本体1,800円+税/石田雄太・著>
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