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移籍市場に異変が! イタリアの
片田舎に大物外国人が来る訳は?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2019/08/23 11:40
オランダの名門アヤックスを離れ、しばしば降格争いに絡むジェノア入りを決断したシェーネ。
プロ選手であることの醍醐味。
33歳のシェーネは、アヤックスとの契約を1年残していた。今冬35歳になるシュクルテルにはイスタンブールから離れることを躊躇する妻がいた。それでも、彼らはサッカー文化の異なる新世界に飛び込む決断をした。これこそプロ選手であることの醍醐味だろうと思う。
ただし、地方クラブのファンにもその名を広く知られる名選手であっても、スタメンの椅子は無条件で用意されていない。
アタランタでスタメンになろうと思ったら、取るべき道は一つ。戦術家ガスペリー二が説く機動的なサッカーのメカニズムを頭と体に叩き込むしかない。ボールポゼッションにこだわる新指揮官アンドレアッツォーリを迎えたジェノアでも同様だ。ポジションとは、与えられるものではなく勝ち取るもの。
シェーネやシュクルテルがキャリアの中で体得してきたオランダ流やイングランド流、はたまたトルコ流とも一味ちがうサッカーが、長靴の国のスタジアムで待っている。
“老いた雌鳥からは良い出汁がとれる”
イタリアには“老いた雌鳥からは良い出汁がとれる”という諺がある。
ジェノアのレジスタに成り得るMFシェーネは、8月16日のコッパ・イタリア3回戦で早速デビューを果たした。
3部クラブ相手に軽やかな球捌きでチームメイトたちと好連係を見せると、74分には25mのFKでダメ押しゴールまで決めて4-1の快勝に貢献。ジェノアは順当に4回戦に駒を進めた。
気の早いジェノアーノたちは、残留争いどころかEL出場圏も狙えると皮算用しているかもしれない。
アタランタのファンたちも、シュクルテルの実戦デビューを待ちきれないだろう。
欧州の大舞台からイタリアの田舎町へ来た名手たち。彼らは新天地でキャリア最後の夢を見る。
出がらしだなんてとんでもない。今季はプロビンチャーレが面白くなりそうだ。