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ブラバンの名門取材で見えてきた、
高校野球応援に傾ける愛情と熱量。 

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梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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photograph byYoichi Nagano

posted2019/08/08 18:00

ブラバンの名門取材で見えてきた、高校野球応援に傾ける愛情と熱量。<Number Web> photograph by Yoichi Nagano

今春のセンバツを盛り上げた習志野高校の“美爆音”は、この夏もアルプススタンド響き渡る。

拓大紅陵の顧問も元野球少年。

 拓大紅陵高校吹奏楽部顧問の吹田正人氏は、元野球少年。中3まで野球にのめり込んでいたが、「自分の実力では通用しない」と悟り、高校では続けなかった。

 吹奏楽部のクラスメイトに「お前、野球が好きだったら、吹奏楽部に入ると応援に行けるぞ。授業に出なくてもいいんだぞ」と誘われ、「とりあえずたたけば音が出る」パーカッションを担当することになった。これが、吹田氏の野球応援人生の始まりだ。

 現在では習志野と合同で野球応援コンサートを開催するほど応援が大好きで、30年にわたりオリジナル曲にこだわり続けている。通常、野球の秋季大会はブラバン応援がほとんど来ない中、両校が秋に対戦した際は、お互い相談して球場に駆けつけるなど、とにかく応援にかける熱意が尋常ではないのだ。

 そして吹田氏といえばオリジナル曲。「作らないとその年の生徒たちが悲しむから」と、毎年必ず新曲を作る。運転中やお風呂の中など、メロディが浮かぶとすぐにメモをしたり、スマホで録音したり。

 以前、吹田氏の奥様は「お風呂でよくメロディが浮かぶようで、急に出てきてタオルを巻いて、紙に書きなぐるのは日常茶飯事。メロディを書いた紙切れが、年中あちこちに転がっているんです」と笑っておられた。

大阪桐蔭の顧問は息子も野球部。

 大阪桐蔭吹奏楽部総監督の梅田隆司氏も、元野球少年で大の野球好き。同校がコンサートで行う「リクエストコーナー」は、ステージから客席に向かって梅田氏がバットでボールを打ち、キャッチした人が好きな曲をリクエストできるという名物コーナーだ。

 客席に向かって「野球部誰かおらへんか?」と呼びかけ、演奏を聴きに来ていた野球部OBや、中学生の野球部員などがステージに上がることもある。「梅田先生は、ずいぶん野球部の扱いに慣れているなあ……」と思っていたら、息子さんが野球部と聞き、妙に納得したのであった。

 甲子園では生徒に指揮をまかせる顧問も多いなか、梅田氏は試合状況をしっかりと見極めながら、最初から最後までずっと指揮をとり続ける。

【次ページ】 大阪桐蔭だからこそ可能なクオリティ。

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