プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
内藤哲也がG1優勝から遠のく3敗目。
モクスリーとオカダ・カズチカは無敗。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2019/07/30 08:00
場外戦でも内藤(左)を苦しめたモスクリー。「トーナメントを制するのはオレ」と饒舌だった。
のらりくらり、挑発する内藤。
やっとリングに入った内藤だが、マントやシャツなどのコスチュームを脱ぐのにいつも以上に時間をかけた。シャツのボタンも一つ一つゆっくりと外した。内藤はモクスリーのいら立ちを楽しむようにニヤっと笑いながらそんな仕草を続けた。
内藤の入場から試合開始のゴングまでは、実に5分間を要した。
内藤が脱いだズボンをモクスリーに投げつけた。殴り合いが始まったが、内藤はすぐに場外に逃げてモクスリーのイライラをさらに募らせようとした。モクスリーをかわすようなのらりくらりの内藤の作戦はうまくいっているように見えた。
戦いに戻って、最初の場外戦はモクスリーに分があった。モクスリーはフェンスで内藤を痛めつけると、床に寝そべって肘をついた内藤の得意ポーズまで披露した。
モクスリーはさすがに手ごわかった。
モクスリーを追い込んだように見えたが……。
内藤はどうにかして自分のペースに引き込もうと努めた。場外でモクスリーが用意したイスでの殴りには応じなかった。不意を突いて、ドロップキックでパイプ・イスごとモクスリーを吹っ飛ばした。花道ではモクスリーを抱え込むとDDTを放ち、さらにイスに座らせたモクスリーに助走をつけた低空ドロップキックを叩き込んだ。
内藤は流れをつかんだように見えた。リングに戻っても、飛びつき式のリバースDDTであるデスティーノを決めて、モクスリーを追い込んだ。
だが、モクスリーは顔面砕きやダブルアーム式DDTで内藤を逆転。最後はデスライダーという名の高角度ダブルアーム式脳天くい打ちで内藤をしっかりとフォールした。
モクスリーが強いことはわかっていた。でも、内藤の勝ちを信じて、それを願っていた会場のファンは驚きとともに、目の前で起きた内藤の敗戦という現実に直面することになってしまった。
内藤は立ち上がることができない。2勝3敗。3敗という数字が重く内藤にのしかかった。