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<eスポーツの世界へようこそ>
モンストグランプリ、戦いの果て。 

text by

河崎三行

河崎三行Sangyo Kawasaki

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photograph byTadashi Shirasawa

posted2019/08/08 11:00

<eスポーツの世界へようこそ>モンストグランプリ、戦いの果て。<Number Web> photograph by Tadashi Shirasawa

2カ月半に及ぶ戦いの末、モンストグランプリ2019 アジアチャンピオンシップは、中部予選Bブロック覇者の「どんどんススムンガ」が優勝。

事前の優勝予想では日本チーム中最下位。

 一方の中部代表、どんどんススムンガは過去、地区予選に3度挑んでいずれも健闘しながら代表権を得られず、4度目の正直での幕張初出場。決勝大会のTRでは、まさかのミスで大きく崩れる強豪もあったなか、手堅く、ミスのないプレーで3位につけた。

 ただメンバーが皆、ルックスも言動も実直なタイプであるためか、同じ優勝予想投票では日本からの出場チーム中、最下位。それを証明するかのように、人気モンストYouTuberがリーダーを務める『早撃ち0.3秒』とのBRクォーターファイナルや、今年の決勝大会唯一のプロチームで、その陽気なパフォーマンスから全国に多くのファンを持つ『アラブルズ』とのセミファイナルでは、会場に詰め掛けた約1万5000人の観客の大多数が、どんどんススムンガの対戦相手を応援する光景が見られた。

 にもかかわらず最終的に頂点に立ったのは、そんな“じゃない方”のどんどんススムンガだったのである。

日頃から応援してくれている仲間の存在。

 激闘の直後、リーダーの「ぴよまる」にロングインタビューを申し込むと、彼は翌々日に時間を作ってくれた。指定してきた場所は愛知県岡崎市にある、勤務先近くのコメダ珈琲店だ。

 日を改めてまでどうしても彼に尋ねたかったのは、ファイナルの第1試合『焔旗の獣人姫』(獣人姫)ステージでの戦いぶりについてだった。

 試合に先立ち、彼らとCatsが晴れ舞台に登場してきた時のそれぞれへの声援に、セミファイナルまでほどの差はなかった。だがそれでも、決してどんどんススムンガ寄りだったわけではない。

「けどファイナルまでの試合でもそうでしたが、舞台の上から目の届く場所に、僕らを日頃から応援してくれてる仲間がいるのが見えてましたから。それはごく少ない数でしたけど、絶対に味方だとわかっている人たちが手を振ってくれてたので、対戦相手がわーきゃー言われてても『早撃ちはやっぱりモテてんなあ』『アラブルズもさすがだなあ』って思うぐらいで、全然気にならなかったです。ただ優勝予想が最下位だったのは、なにくそコノヤローってかちんときてましたけど」(ぴよまる)

【次ページ】 解説者も狙いを掴めなかった奇策。

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