猛牛のささやきBACK NUMBER
手袋なしで竹バットを振り込む──。
交流戦首位打者・中川圭太の中学時代。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2019/07/26 11:30
交流戦での打率は3割8分6厘で、得点圏打率は4割3分2厘に及んだ。
「自信になったとまでは言えない」
プロに入って初めて自らの力でつかみ取った称号をひっさげて、後半戦をスタートした。
ただ、ルーキーとしては史上初の交流戦首位打者も、中川は「自信になったとまでは言えない」と控えめだ。
「今後につながるいい経験にはなりましたが、もっともっとやらないといけないので。タイトルを獲ったことによって、周りの見る目とかも変わってくる。この先打てないと、『たまたまやん』となるので、これからが大事になってくると思います」
後半戦は交流戦期間ほど安打を量産してはいないが、大きく調子を落とすことなく踏みとどまってきた。ただ、連戦や増してきた暑さの中、疲労もたまってきている。
新人王の可能性も見えてくる。
田口壮野手総合兼打撃コーチはこう語った。
「疲れていると思います。でもそれは誰もが通る道。打てない時期をいかに短くするか。僕らとしては、年間を通して、規定打席に立たせて3割打たせてあげたいという思いはありますし、ここからどう立て直すのか楽しみでもあります。彼は自分がどうなっているのかわかっていると思う。
どこまで暑さに耐えられるかですね。僕らの感覚では、シーズンはここからだから。ここからは、彼がもともと持っている体力と、春先からどれだけ鍛えてきたかが試されるところです」
試練の夏場を乗り切れば、新人王の可能性も見えてくる。そして、「リーグ1勝負強いバッター」という称号も。
この先、紹介する言葉を並べきれなくなるほど、数多くの称号を手に入れながら、プロ生活を歩んでいく中川の姿が目に浮かぶ。