野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
交流戦「1カ月戦争」を戦い抜いた
ロッテの最強ロボ・マジワラン。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph bySports Graphic Number
posted2019/07/06 11:30
非交流戦士マジワランのフォルム。背中の棒状の物を広げると円状になり、後光のような存在感に変型する。
「哀しいけど、これが交流戦なのよね」
●vs.中日ドラゴンズ【1勝2敗】
名称:龍ロボ(AI搭載)
身長:20メートル、体重:20トン、装甲:高張力鋼、動力:ディーゼルエンジン。
機体説明:縦横無尽に水中を移動し頭部のAI搭載魚型誘導ミサイルで敵を撃破する。なおこの機体はAIを搭載しているものの、あえて1962年生まれ56歳、身長1メートル81センチ、体重94キロ、熊本県出身の専属パイロットが自ら運転している。また通常のロボットは胸部分にコクピットがあるがパイロットのこだわりでこの機体はヘッド(頭)部分にコクピットがあるという。【公式資料より】
第4話「ツトムンスコン、強竜」
かつての指揮官も今日は敵の参謀。因縁の戦いはまたも初戦を落とし嫌なムード。しかし中止を挟んだ第2戦はマジワランの歴史に残る戦いとなった。
序盤は龍ペースで2回に2つのフォアボールで早々に2失点。「ボルシンガーさんかい? 早い早いよ」と、5回までに5点を奪われ劣勢に陥るも、7回鈴木大地ソロ、8回岡大海のソロ、そして最終回に鈴木大地の2打席連続本塁打で反撃の口火を切ると、「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ」と中村奨吾、藤岡、タムラの連打とフォアボールも絡んで4点を返し尚2死満塁。
ここで鈴木大地がしぶとく一、二塁間を破る逆転サヨナラタイムリー。龍ロボの誇るリリーバーを粉砕した、マジワラン。鈴木大地のニュータイプとしての能力が覚醒したかのような劇的な勝利に酔った。
「田島、R・マルティネス、ロドリゲスが全滅? 3アウトも持たずにか!」
◯vs.広島東洋カープ【2勝1敗】
名称:鯉ロボ(AI非搭載)
身長:51メートル、体重:19トン、装甲:ステンレス/VMQ、動力:リチウムイオン電池。
機体説明:マジワランとの前回対戦時でボコボコに敗れた経験を生かして作られた後継機。ボディに樹脂を使い柔軟性を持たせるも陸上での移動が難しい機体でもある。セ・リーグのロボットの中では最大身長を誇る。AIは非搭載で赤い彗星の異名を持つ「超NO」が専用パイロットとなっている。【公式資料より】
第5話「 恐怖!機動ズム・スタ」
戦前、挑発ポスターの「どん底へ、いって鯉」の言葉を誰が信じられただろうか。
セ・リーグで圧倒的な強さを見せていたカープがこの交流戦では5勝12敗1分けの最下位という番狂わせ。鯉ロボのパイロット“赤い彗星”ことチョーノ選手は第1戦に1番センターでスタメン出場。先頭打者で安打を放つも第2、3戦は出番なく代わりに新鋭小園が初出場。
一方のマジワランは初戦2-2の延長11回に代打清田の決勝タイムリー。第2戦もタムラの本塁打などで交流戦ではじめての連勝&延長戦突破能力も。
さらに第3戦は0-6から荻野貴、清田、藤岡のタイムリーなどで9回に追いつく驚異の粘りを見せるも、最後は「やらせはせん、やらせはせんぞ」と會澤翼の意地のタイムリーの前に散華。マジワランは荻野貴、鈴木大地の2人が3戦合計28打数10安打と絶好調。
ニュータイプの1、2番コンビが完成したかのような活躍に「すごいぞ、これでマジワランの攻撃力は数倍に跳ね上がる」と酸素欠乏症になったファンが続出。交流戦、やっと初のカード勝ち越しを決めた。
「哀しいけど、これが交流戦なのよね」