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憧れのギータから「見て学んでね」。
西武・戸川大輔、育成から4番候補へ。 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byKyodo News

posted2019/06/28 11:15

憧れのギータから「見て学んでね」。西武・戸川大輔、育成から4番候補へ。<Number Web> photograph by Kyodo News

5月31日の千葉ロッテ戦ではプロ初本塁打を放ち、勝利に貢献した西武・戸川大輔。

経験したことのないエラーで動揺。

 戸川は振り返る。

「二軍にいたときは、ああいう平凡なフライをミスするような守備のエラーは経験したことがなかったですね。一軍に行って初めて『自分の守備力ってこんなもんなんだな』と気づきました。まだまだ練習しなきゃいけないと思いました。あとは気持ちの切り替えの大切さも感じました。

(千葉ロッテ戦で)井上晴哉さんの打球をエラーしたあとは、もう気が動転してしまって、バッティングにも集中できなくなって……。何よりそれがいちばん悔しかったです」

 二軍に降格したあと、戸川は地道に課題を克服するための練習を続けている。全体練習が終了したあとグラウンドに残り、ノックを受ける守備練習。そのあとは室内練習場へ移動してバッティングマシンに向かう。打撃での課題も明確になった。

「最初はファーストストライクから積極的に打ちにいっていたんですけど、攻められ方が変わったあとの対策ですよね。打席を重ねていくと、どうしても相手の攻め方が変わってくる。その中での対応ができなかったです。ピッチャーももちろんいいピッチャーばかりなんですけど、でも振り返ってみれば『打てるボールもあったよな』と……」

 改めて積極性の大切さを学んだ。

芽生えた明確な数字への意識。

「二軍の試合で一級品のピッチャーのボールはなかなか経験できません。でも、そういう投手のピッチングをイメージして、継続していきたい。今までは数字にこだわり過ぎると、バッティングの状態が悪いほうへ行ってしまったので、『こだわらないように』と心がけてプレーしてきたんですけど。

 今度はしっかり成績を残さないと上に行けないですから。今度は数字を意識して、率を残して昇格したいです」

 188cmの恵まれた体格を生かした長打力で、将来の4番候補とも期待されている。しかし、今シーズンはホームランを打ちたいという思いはないと語る。

「去年までは長打を狙っていきたいって思っていました。でも一軍の試合を経験したら、考え方が変わってきました。チャンスの場面で打つ1本のヒットですごく球場が盛り上がるのを見て、大きな当たりも大事だけど、大事な場面で打つヒットもすごく重要だと思いました。自分はチャンスで回ってきたときにヒットを打てなかったので、ヒット1本の重みをすごく感じました」

【次ページ】 憧れのギータと自主トレ「びっくりするばかり」

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