プロ野球亭日乗BACK NUMBER
松井秀喜vs.高橋由伸の構図で、
岡本和真と大城卓三を見る原監督の策。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/06/22 09:00
6月14日の日本ハム戦では、岡本(4番)が大城(5番)の二塁打で生還している。近い打順の2人は競い合うように活躍し、巨人に恩恵をもたらしている。
ずっと探していた、岡本の好敵手。
大城の打者としての特長は、とにかくスイングスピードが速くバットコントロールが優れていることで、打者としての非凡さは巨人の首脳陣だけでなく、在野の多くの評論家が認めるところでもある。
「追い込まれてもしっかりスイングできるというのは、強打者になる大事なポイントなんです。そういうスイングが大城はできる。その意味でも将来的にチームを支える主力打者として非常に楽しみな存在だと思っている」
原監督の大城評だった。
捕手としてはまだまだ課題は多いが、とにかく打者としての能力を活かすための一塁挑戦というわけだ。
それと同時に指揮官が大城に送る視線の先には、実は岡本の存在もある。
「ずっと探していたんだ。ようやく岡本に刺激を与えられる可能性のある選手が出てきたということだね」
岡本にとっての大城の存在を原監督はこう説明した。
選手が大成していくためには、チーム内にお互い切磋琢磨するライバルの存在が不可欠だ、と指揮官は言う。
「ONの2人の関係はいうまでもないけど、松井(秀喜外野手)が急成長した起爆剤になったのが高橋(由伸外野手)の存在だったから」
高橋の入団で、松井の目の色が変わった。
松井が巨人の指名を受けたのが1992年のドラフトで、1つ年下で慶應義塾大学を卒業してきた高橋の巨人入りが決まったのが、それから5年後の'97年のドラフトだった。
高橋のルーキーイヤーだった'98年には、松井はすでにプロ6年目。前年まで2年連続30本塁打以上もマークして主軸打者のポジションは確立していた。
「でも、高橋が入ってきて松井の目の色は変わった。特に2年目に高橋が大活躍したことが、松井には大きなインパクトになって、彼自身が一皮も二皮もむけるきっかけになった。そうしてお互い切磋琢磨するように好成績を残して、確かその年に松井も初めて40本以上(の本塁打を)打つことにつながったんですよ」