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ランパード監督就任が秒読み段階。
レジェンドに託すチェルシーの思惑。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2019/06/22 11:30

ランパード監督就任が秒読み段階。レジェンドに託すチェルシーの思惑。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

フィニッシュに絡めるタイプだったランパード。スタンフォード・ブリッジのテクニカルエリアに立つ姿が見られるか。

チェルシーの空気は明るくない。

 サッリ体制1年目だった2018-19シーズン、チェルシーはプレミアリーグ3位、ヨーロッパリーグ優勝で終えた。トップ4復帰でCL出場権を獲得し、3年連続でトロフィーを手にしたことになる。

 しかし、クラブを包む空気はまったく明るくない。

 リーグ連覇を遂げたマンCと、1ポイント差でタイトルを争ったリバプールの2強時代到来が予想されるなか、チェルシーは水をあけられている。2強がポゼッションベースの攻撃的スタイルの完成度を極めつつあるなか、チェルシーはというと“サッリ・ボール”、いわゆるサッリが目指した攻撃サッカーの習得を1年で打ち切った。

 メディアに「融通の利かないワンパターン」と言われようが、スタイル変更を敢行するサッリのような頑固者は悪くないと思っていた。しかしフロントはこれまでもそうであったように、指揮官への全面支援を公言せず、イタリア人監督が祖国の強豪による誘いに惹かれる展開となった。

2度にわたる補強禁止処分もある。

 その間に試合内容と結果に一喜一憂するファンはサッリの名を歌うことをやめ、ブーイングや非難を口にするようになっていった。トップ4でタイトルも獲得したシーズンに、これほど不満を唱えられたホームはスタンフォード・ブリッジくらいだろう。

 そして過去7年間の花形で、独力でチームを牽引したエデン・アザールが、レアル・マドリーへ去って行った。

 代わりに8900万ポンド(約125億円)の移籍金を手にしたが、ユースレベルでの選手獲得に関する規則違反で、FIFA(国際サッカー連盟)から2度にわたる移籍期間での補強禁止を命じられている。そのため、新戦力との契約が許されない。

 現在スポーツ仲裁裁判所に提訴してはいるが、審議は今夏の移籍市場には間に合わず、勝訴しても来年1月に補強が許される見込みも高くはない。

 結果としてスタンフォード・ブリッジ界隈は、近年稀に見るほど静かである。そのような状態の人々に、希望と士気を一気に吹き込める新監督こそがランパードである。

【次ページ】 アブラモビッチと続く短期政権。

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