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久保建英がマドリーBで得る待遇。
ラウール監督のもとでエース候補。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2019/06/20 17:30
コパ・アメリカに参戦中の久保建英(右)。その注目度はスペインでも日ごとに増すばかりだ。
魅力的なBチームのプロジェクト。
バルサや同じく獲得競争に加わっていたパリSGはというと、両者の契約は2020年1月31日まで続くものだと信じ、FC東京との交渉方針に迷いを見せていた。
レアル・マドリーは、また前述の久保側の求めにも柔軟に対応した。年俸はもちろんのこと、今夏のトップチームの練習参加や2年目のトップチーム入りも飲んだ。最終的に結ばれた久保との5シーズンの契約は、そうした努力と熱意の結果ということだ。
『マルカ』紙によると、レアル・マドリーは久保の代理人に対し、来季彼が属することになるBチームのためのプロジェクトを熱く説いたという。
これがなかなか興味深く、久保本人にも魅力的に映った可能性がある。
ラウールを監督に据えて大改革。
2005-06シーズン以降「カスティージャ」と呼ばれているレアル・マドリーBは、かつて国王杯準優勝や2部リーグ優勝を果たし、前世紀末に消滅したUEFAカップウィナーズ・カップにも出場したことがある、サテライトチームの枠を超えた名門だ。
しかし、2013-14シーズンに2部Bリーグへ降格してからは低迷を続けている。そこでクラブはカスティージャを2部に戻すべく、大胆な改革を行うことを決めた。
Bチームのレベルアップはトップチームやカンテラの選手に好ましい影響を与えるだけでなく、クラブの財政的にもプラスに働くからだろう。
新監督は「将来トップチームを任せることができるOB」という従来の方針に沿って選ばれた、レアル・マドリーの生きる伝説ラウール。17歳でトップチームデビューという経歴が、育成の最終段階にある若者に及ぼす効果をも計算してのことだ。
指導者ライセンス取得からまだ1年しか経っていないが、昨季はカンテラのU-15とU-18を率い、後者を所属するリーグの王座に導いて手腕を評価されている。