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田口成浩と比江島慎の「移籍1年目」。
難しい時期を乗り越え、開花の時へ。 

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石川歩

石川歩Ayumi Ishikawa

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photograph byB.LEAGUE

posted2019/06/15 17:00

田口成浩と比江島慎の「移籍1年目」。難しい時期を乗り越え、開花の時へ。<Number Web> photograph by B.LEAGUE

田口成浩と比江島慎はともに来季チーム残留を発表した。田口は千葉に悲願のBリーグ制覇をもたらせるか。

栃木でバスケができる喜び。

 千葉のホームで、圧倒的に少ない栃木ファンが発したその日最大の“ヒエジマ・マコト”コールは、どんな熱量で比江島に届いていたのだろう。

 大きく肩で息をしながらも、自身の落としたフリースローを取りに行ったときに笛が鳴って4ファウル、残り18秒にジョシュ・ダンカンのファストブレイクを止めたところで比江島はファウルアウト。最後までコートに残った5人はシュートを打ち続け、5点差まで詰め寄るも勝利には届かず、83-88で栃木は敗れた。

「あの試合、あの時間に僕が持っていた力は出し切った。後からああしておけばよかったというシーンはあるけれど、あのとき持っていた僕のスタミナを考えると限界は超えていました。このシーズンは大満足ではなかったけれど、栃木に復帰して、改めてバスケができる喜びを感じられました。公式戦で、栃木で、バスケができることが嬉しかった」

 比江島のセミファイナルも田口のファイナルも、試合終了後はアリーナの隅々にまで行き渡るような温かい拍手が続いた。どんなにビハインドを背負っても最後の最後まで諦めずに、「勝てるかもしれない」という希望をつないだ選手を称える、大きな拍手だった。

来季に向けて、それぞれの目標。

 ファイナルの日、比江島は中継のゲストとして横浜アリーナを訪れていた。

「会場に行ったら絶対に悔しくなると分かっていました。僕はあのファイナルのコートで喜んでいるべきだったし、そうなる自信もありました。あの場にいたことで、さらにBリーグで優勝したいという思いが強くなった。であれば、優勝できる可能性が最も高いチームでプレーするのがいいし、その環境にやりがいがあって、自分が成長できると思えるなら最高だなって」

 田口も比江島も、移籍1年目を手探りで進みながら、たゆまぬ努力で結果を残した。2019-20シーズン、「移籍1年目」の冠が外れてチームに100%アジャストしたとき、彼らがチームを一気に加速させる存在となるのは間違いない。

 比江島は5月29日に栃木との契約継続を決め、翌30日にはNBA ダラス・マーベリックスのミニキャンプへ参加することを発表。現在、ミニキャンプに向けてトレーニングを行なっている。

 一方の田口も、「早めに始動して肉体改造に取り組む」と話す。同じポジションの石井が千葉の退団を発表したことで、田口はさらなる期待と重責を担うことになるだろう。

 敗戦の悔しさを勝利のモチベーションに変えた2人の戦いは、次のシーズンに向けて、すでにはじまっている。

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