小川航基の同点弾をお膳立て。

　ゆったりとした助走から、相手の動きを見つつゴール右に沈める。ゴールネットが揺れた瞬間、それが日本代表にとって史上初の決勝進出を決めた瞬間となった。

　PK戦の最終キッカーとして勝利に貢献した旗手だが、それ以外でもこの試合で見せたパフォーマンスは見事だったと言っていい。前半は最前線に入り、プレッシングのスイッチ役を担えば、小川航基投入後にはシャドーのポジションに下りて攻撃を構築した。

「一番前をやっている時に結構シャドーが下がり過ぎていて、前に入った時に距離感が悪いな、と感じていた。なるべく前にいることと、もらった時に前に運んでいく、サイドをうまく使うことはすごく意識していた」と前線との距離感を意識することで、チーム全体の攻撃にスムーズさが増した。

　また旗手の活躍は、それだけにとどまらない。ゲーム終盤には小川の起死回生の同点ゴールをお膳立て。ワンタッチで相手の前にボールを置いた瞬間、2つの選択肢を持ちながら最善の判断をしたことがゴールにつながっている。

「最初にタッチした瞬間、2対2だったので自分で行こうかなと思ったんですけど、（小川）航基が相手のCBの裏を走っていた。なので巻くようなボールを出そうかなと思った。わざとというか、相手の頭上を狙って、相手が競りに行って（相手DFが）かぶってくれたら嬉しいなという感じのボールを出したらうまいこといきました」

大学組の上田らがコパに参加する中で。

　この遠征では結果が欲しかった。東京五輪世代の主力を担っていた多くの選手たちがコパ・アメリカに挑む日本代表に選ばれ、大学組の上田綺世（法政大）もブラジルに向かった。

　そんな中、フランスの地で戦う身としては、ここで何かを残さなければいけなかった。チリ戦ではハットトリックを達成した。だが、それで終わらせるつもりはない。決勝進出をかけた大一番で何ができるのか。手にしたチャンスを逃すわけにはいかなかった。

「FWとして出て、今日もシュートチャンスがあった中で決められなかったのはすごく悔しい。でも、自分はシュートだけではない。アシストもできる。そういった意味ではしっかりアシストで同点弾に絡めたのはすごく大きいです」

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