Overseas ReportBACK NUMBER
サニブラウンを支えた仲間の存在。
「ハキームは本物のゲイターだよ」
posted2019/06/14 11:45
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
AFLO
全米大学選手権で3種目で大活躍し、表彰式後に大勢の日本のメディアに囲まれ、取材を受けるサニブラウン。矢継ぎ早に質問が飛ぶ中、チームの先輩でハンマー投げのAJ・マクファーランドが、「おじゃましまーす」と言いながら、サニブラウンの肩に手をかけ、取材に飛び入り参加した。
「先輩、どうぞどうぞ」と後輩も応じる。
サニブラウン選手はこの1年でどんな成長を遂げたと思うか、という記者からの質問に、先輩は待ってましたとばかりに笑顔で答えた。
「どんな選手でもチームや学校になじむのに時間がかかる。2日でなじむヤツもいれば、2週間、2カ月かかるヤツもいる。ハキームは皆よりちょっと時間はかかったけど、チームの一員として努力して、結果を出した。よく頑張った。すごく誇らしい」
先輩からのほめ言葉にサニブラウンもつい頬が緩む。
「ハキームはベイビーゲイターじゃなく、本物のゲイターだよ」
温かい眼差しを後輩に向けながら、マクファーランドはそう締めくくった。
過酷な日程で予想を超える活躍。
全米大学選手権3日目。1時間40分あまりの時間で決勝3種目に出場した。超がつくほど過酷な日程だった。そんな中、サニブラウンは周囲の予想を超える活躍を見せた。
400mリレー:37秒97(優勝、アメリカ大学新記録、今季世界最高)
100m :9秒97 (3位、日本新記録、フロリダ大学記録)
200m :20秒08(3位、日本歴代2位)
3種目とも素晴らしい記録、そして結果だが、サニブラウンは「一番うれしかったのは400mリレー」と答えた。アメリカ大学記録を出したことよりも、一緒に走ったチームメイトが一番でフィニッシュラインを切ったことが何よりも嬉しかった。
リレーのアンカーを走ったライアン・クラークは4年生。1年から3年までは個人種目でも同大会に出場したが、今回はリレーのみ。
クラークはサニブラウンが高校3年生の時にフロリダ大学の学校訪問をした際に、お世話係として2日間、大学や寮、練習見学などにつきあってくれた選手だった。入学後もチームと距離感のあったサニブラウンを何かと気にかけてくれた存在だった。