ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
飛距離アップを目指す今平周吾。
オーガスタで痛感した「ミス」の差。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byGetty Images
posted2019/06/05 07:00
肉体改造に着手しているという今平周吾。直近の全米オープン、そして全英オープンと、今季は四大メジャーすべてに出場する予定だ。
オーガスタで痛感したこと。
中でも今平自身が強く感じたのは、マスターズで味わった経験だ。
オーガスタナショナルGCはフェアウェイが広く、ただしグリーンが激烈に難しいことから、選手たちは多くのホールで猛然とドライバーショットを放ち、2打目以降で、できるだけ短い番手を持とうとする。
予選2日間で、今平は米ツアー3勝のケビン・キズナーと同組で回った。世界トップレベルの選手としては小柄な部類に入り、今平とは体格的にそれほど大きな差はない。
痛感したのはこんなこと。
「(フェースの)芯に当たったときはそこまで距離は変わらなかったんです。でも、(互いに)芯に当たらなかったとき、あとは風がアゲンストのときなんかはもう、40ヤードくらい離されるときもあって……」
彼の名誉のために加えると、今平のマスターズ初日の平均飛距離は287ヤード。対してキズナーは285ヤードだった。残した数字では優ったにもかかわらず、そう感じたのだった。
「調子が良い時で、5回くらい」
そもそも、外の世界から眺めている限りでは、プロゴルファーは常にクラブフェースの芯で止まったボールをとらえているような気がしてならない。ましてやトップ選手で、ライが平らなティグラウンドから打つならなおさらだが、彼は苦笑いして首を振る。
ちょっと幼稚な質問を投げつけてみた。
1ラウンド18ホールのうち、パー3を除く14ホールで1Wショットを打ったとして、「芯に当たった」と思えるのは何回あるか?
「調子が良い時で、5回くらいじゃないですかね。そこまで良くないとき、普通の調子だと2、3回ですかね……。だいたい、ラウンドを振り返って『あれは良いショットだったな』と思えるのは、1発くらいのような気がします」
もちろん、アマチュアゴルファーが感じる“芯”よりも、プロが感じるそれは格段に小さい範囲のことを指すはずである。とはいえ好調時でも、彼らにしてみれば“ナイスショット”は半分にも満たないのだ。「ゴルフはミスのスポーツ」と言われる所以は、そんなところにもあるのかもしれない。