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チャナティップはなぜ愛されるのか。
「タイのメッシ」と日本の好相性。
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/06/01 08:00
昨シーズンは30試合で8ゴールをあげ札幌の4位躍進の原動力となったチャナティップ。今季も好調なチームを牽引している。
「成功への近道はない」
すでにJリーグきっての人気者。札幌代表としてシーズン前の「キックオフカンファレンス」に出席したチャナティップは、大勢の人に囲まれていた。
カメラマンから繰り返し合掌ポーズを求められても、いやな顔ひとつ浮かべず、むしろ自ら表情を作る。タイ人記者から「新しいロマンスは始まりましたか?」と尋ねられると微笑みで応えていた。イエスなのかノーなのか、どっちだろう。
日本での3年目に向けて、チャナティップは素直に心境を語った。
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「タイのサッカーを背負うプレッシャーは、ちょっとだけ感じます。でもぼくは、そのことをむしろ誇りに思っています。ベストを尽くして一生懸命やっていたら、なんとかなるんじゃないかな」
好きな言葉をたずねると、こんな言葉が返ってきた。
「“成功への近道はない”です。がんばればがんばるほど、成功に近づく。努力を続ける中で、自分で見つけた言葉です」
なるほど、とても日本人らしい。
日本人のキャラを携え、「タイのメッシ」がフロンティアを突き進む。
(Number973号『[158cmの英雄]チャナティップ「タイのメッシと呼ばれて。」』より