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最終節までもつれたセリエAのCL争い。
地方クラブの星、アタランタが初切符。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byGetty Images

posted2019/05/30 17:30

最終節までもつれたセリエAのCL争い。地方クラブの星、アタランタが初切符。<Number Web> photograph by Getty Images

クラブ史上初のCL出場を決め、サポーターと喜び合う選手たち。育成力と2016年から指揮を執るガスペリーニの哲学が融合した。

FWサパタの泥臭い同点弾。

 ところが、歴史的一戦に臨んだ選手たちの足はすくんだ。キックオフと同時に、これまでの37試合とは桁違いのプレッシャーがアタランタを襲った。

 主将アレハンドロ・ゴメスは気負いすぎ、攻撃の要FWヨシップ・イリチッチもボールが足につかない。緊張のせいでボールを持つ者皆が皆、いつもより1タッチ多い。パスがずれ、全体のプレーリズムが整わない。

 低く軽快にボールをつなぐサッスオーロから失点を喫したのは19分だった。さらに3分後、ミラン先行の一報が入り、指揮官ガスペリーニはCL出場圏外に弾き出されたことを悟った。ベンチは凍りつく。

 焦りと降り始めた雨にもがく中でつかんだCKだった。35分にFWドゥバン・サパタが泥臭くこぼれ球を押し込んで同点とすると、アタランタは暫定4位に浮上する。

 予期せぬ乱闘も起こった。前半最後のプレーとなった49分のFKでの小競り合いをきっかけに、先制点を奪ったサッスオーロFWドメニコ・ベラルディが退場になり、試合の流れが一気に変わった。

 数的優位を得たアタランタはようやく余裕と自分たちのペースを取り戻し、攻めに転じた。

チームを牽引してきたゴメスの逆転ゴール。

 51分、サン・シーロからインテル先制のニュースが入り、アタランタは再び暫定5位に転落したが、ベテランたちは直後に訪れた勝負どころを逃さなかった。

 相手GKがFWイリチッチのシュートを弾いたところをMFゴメスはフワリと浮くコントロールショットで敵のゴールネットに収めた。

 強くなった雨の中で、200km離れた開催地に詰めかけた1万7000人のアタランタ・サポーターの大歓声が爆発した。

 ベルガモ市の人口は約12万人だから、全市民のうち7人に1人が駆けつけた計算だ。町の歴史がかかった世紀の一戦だ、絶対に見逃してなるものか。

 収容人数2万1000人少々のマペイ・スタジアムは、ネラッズーリ(=黒・青)色に染まっていた。スタンドのほとんどを埋めたアタランタのファンたちは試合の間中、圧倒的声援を送り続けた。

【次ページ】 「あと何分だ?」指揮官もウロウロ。

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