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監督として“ジロ”に挑む水谷壮宏。
夢破れても、自転車に魅せられた人生。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph bySonoko Tanaka
posted2019/05/27 11:50
初山翔(右)らに指示を出すNIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ監督・水谷壮宏監督(中)。
最も過酷で美しいグランツール。
紆余曲折ある自転車人生だったが、世界最高峰のジロ・デ・イタリアまでたどり着く。3週間かけて全21ステージを走り抜けるそのレースも、5月23日からはいよいよラストの厳しい山岳ステージに突入している。雪化粧のアルプス山脈からは絶景が広がっている。
開幕前の夜、ボローニャのホテルでワイングラス片手にふと漏らしていた。
「自転車競技をやっていないと、なかなか見ることのできない景色もある。監督でも選手でもそう。これも競技の魅力かな」
最も過酷で美しいと言われるグランツールの風景も目に焼き付け、いまも峠の作戦を立てているはずだ。
「超級(山岳)ステージ前後の中級(山岳)ステージなど優勝候補チーム勢との駆け引きがあるので、そこをうまくすり抜けてステージ優勝を狙いたい。リーダーチームなど総合に関係のない選手を逃すこともあるので、そこで逃げのチャンスをつかむ」
ジロの舞台裏でも日本人は奮起している。