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焦らず、崩れず、逆転勝利した鹿島。
ACL優勝が変えたクラブの目標設定。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2019/05/23 17:00
ACLを制覇してCWCを戦うことは鹿島にとって、もはや「何年かに一度達成すればいい」という目標ではないのだ。
同点で崩れた山東、団結した鹿島。
その圧力に影響されたのか、消化試合だったはずの山東が攻めに出た。その結果、ゴール前でボールを奪った鹿島のカウンター攻撃がさく裂する。後方からのパスを受けたセルジーニョがレオシルバへ繋ぎ、スピードアップした伊藤がゴールに迫った。
「数的優位な状態だったのでスピードを上げたところで、レオがいいパスを出してくれた。DFがタックルに来たけれど、自分のほうが早くボールに触れると思っていた。右足で打つ、浮かすという選択肢しかなかった。キーパーを見て、うまくコントロールできた」
GKとの1対1で見事なループシュートが決まり、後半26分に鹿島が逆転。
「あのセットプレーで同点にできたのが大きかった。あの1点で山東はバランスを崩した。それまではバランス崩さずに戦っていたけれど、あの1点で守るのか攻めるのかの迷いが出たと感じた。
2点目も翔くんに渡るまでのカウンター攻撃で3、4人と前に出ていけていた。『ここがチャンスだ』と思ったときにみんなで行けた。翔くんの点ですが、みんなの点でもあると思う。本当に勝負所、プレーの選択が90分通じて良かった」と土居。
「サッカーは90分のゲーム」
試合は2-1のまま終了し、自力での突破が決まる。ディフェンディングチャンピオンとして、最低限の結果をクリアできた。
「僕の感覚的にはルーズなところも多かったし、そんなにいい内容だったとは思わない。もっともっと突き詰めていく部分はある。攻守の切り替えだったり、球際の強度も足りなかった。リーグ戦でできていたことが同じ強度ではできなかった」という三竿をはじめ、課題を口にする選手も少なくなかったが、辛抱強く戦った。
「サッカーは90分のゲーム。前半のひとつひとつのプレーが後半に響くこともある」とは以前、中村が語っていた言葉だ。