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競馬を変えたノーザンファーム天栄。
休み明けをプラスにする最強の外厩。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/05/22 11:30
ノーザンファーム天栄自慢の坂路。多くの人や馬がひしめくトレセンより、ストレスが少ないことは明らかだろう。
調教師や騎手と同じくらい外厩が大事。
ここまで「天栄ホース」が活躍すると、どの調教師が管理しているとか、どの騎手が乗るといったことと同じぐらい、どの外厩で調整されているかが、その馬の仕上がり状態を見極めるヒントになる。ブリンカーをつけたことを予想の参考材料として馬柱に載せるなら、どの外厩で調整されたかも載せてはどうか――と思っていたら、スポーツ報知がそれをしている。
同紙のサイト「馬トク」では2017年の7月から全頭のそれを掲載しており、昨秋のGIシリーズから、紙面でもメインレース出走馬の放牧先(外厩)を調教欄に載せるようになったのだという。
まさに「外厩の時代」到来である。
ノーザンファーム天栄は施設そのものも綺麗だし、眺めもいいので、来ただけで馬がリフレッシュできそうだ。
「ただ、風が強いのは困ります」
木實谷場長は苦笑するが、北海道からトレセンまでの輸送の中継基地としても、リフレッシュの場としても、ロケーションは絶好と言えよう。
数百頭のデータを全て頭に入れて。
外厩という性質上、馬の出入りが頻繁に行われているのだが、木實谷場長は、ここで中間を過ごす数百頭の馬の血統や成績はもちろん、次にどのレースを目標としているのかなどのデータを、すべて頭に入れているという。
「すごいですね」と筆者が言うと、「どうしてですか」とでも言いたげな表情で、「仕事ですから」とサラリ。特別なことをしているという意識はないようだ。
彼は、国立の東京農工大の出身で、馬術部で主将をつとめていた。アーモンドアイを管理する国枝栄調教師、スマイルジャックなどを管理した小桧山悟調教師、ユキチャンなどを管理していた後藤由之元調教師らの後輩にあたる。