沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
競馬を変えたノーザンファーム天栄。
休み明けをプラスにする最強の外厩。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/05/22 11:30
ノーザンファーム天栄自慢の坂路。多くの人や馬がひしめくトレセンより、ストレスが少ないことは明らかだろう。
ケアの場でもあり、学習塾でもあり。
ここ数年、ノーザンファームの生産馬は、北海道で馴致・育成を終えると、早ければ2歳の春に、ノーザンファーム天栄に移動する。ここで輸送後の状態を見ながら調整し、それから美浦トレセンの厩舎に入厩させる。そしてゲート試験を受けたら、また天栄に戻し、じっくり乗り込んでデビューに備える、というパターンがよく見られる。
以前は、ゲート試験に合格したら、そのまま在厩してデビューに備えるのが普通だったのだが、それも変わってきている。
人間で言うと、中学生が初めて長距離の移動をして、大人のなかに入ってゲート試験を受けるわけだ。心身への負担は大きい。その意味で、ゲート試験自体も1回のレースと同等に考えている、と木實谷場長は言う。
ここでひと息入れ、心身の疲れを取ってさらなる成長を促し、それからデビュー戦を迎えさせるわけだ。
ノーザンファーム天栄は、バリバリの現役馬の中間のケアとトレーニングの場でもあり、デビュー前の若駒の学習塾のような場でもあるのだ。