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黒田雅之の6年間は世界に届かず。
選手も会長も燃え尽きた後楽園の夜。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2019/05/14 11:30
キャリア14年、6年ぶりの世界戦での完敗。それでも、黒田雅之の時間と精神は確かに後楽園で結実していた。
選手も会長も、達成感を漂わせ。
こうした努力が'17年、日本フライ級王座を獲得、日本2階級制覇という形になって表れた。この王座を4度の防衛したことが今回の世界タイトル挑戦に結びついたのだ。
無念、黒田は6年前との違いを問われると、次のように答えた。
「最後、自分の力は出し尽くした感じがある。6年前は出せなかった。自分の中では“攻めた”というのは前とは違うかなと」
大手ジムのアンダーカードではなく、自主興行でチャンピオンを南アフリカから呼び寄せた新田会長の苦労には並々ならぬものがあったことだろう。こちらは「プロモーターとして燃え尽きました」。
師弟ともにガックリと肩を落とすしかなかった。