ひとりFBI ~Football Bureau of Investigation~BACK NUMBER
見せてもらおうか、J1王者の技を。
イニエスタを牛耳った川崎の連動。
text by
北條聡Satoshi Hojo
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/05/14 10:30
イニエスタがいる。それだけで会場には高揚感が漂ったが、川崎がそれを打ち砕いたというのが痛快だったのだ。
見せてもらおうか、J1王者の……。
見せてもらおうか、J1王者のパスワークの性能とやらを――。
もちろん、この試合を前にして、イニエスタにそんな思いは露ほどもなかっただろう。ただ、Jリーグという未知の世界に「バルサっぽく」立ち回るクラブがあることに少なからず驚きを覚えたのではないか。当の本人がのちにこう明かしている。
「前半のうちに3-1までリードを広げたのに結局、3-5で敗れた。(川崎が)良いプレーをしているから、そんな逆転が可能なんだ」(『Number』973号より)
相手に何もさせない――という哲学に照らせば、娯楽性あふれる名勝負ではあっても、理想の試合ではないのだろう。敗れた神戸はもとより、勝った川崎にとっても。
ただ、世界に冠たる大物を1人や2人そろえたところで、そう簡単に勝たせてもらえない。いまのJリーグがそういうレベルにあることを物語る名勝負でもあった。
僕のボールは僕のもの。君のボールも僕のもの。さらば、のび太。ようこそ、ジャイアン。天国にいるクライフがこの試合を見ていたら「4-3-3で戦えば、もっと楽に勝てた……」なんてブツブツ言いながら、川崎をお気に入りのフォルダに加えたはずだ。
■2018J1リーグ 第30節第2日■
2018年10月20日/19:03キックオフ
等々力競技場/入場者数24441人
川崎5-3神戸
【得点者】川崎:小林(13分)、家長(43分)、齋藤(65分)、大島(69分)、エウシーニョ(76分)、神戸:OG(15分)、古橋(28分)、三田(35分)
【警告】神戸:三田(71分)、大崎(88分)
【出場メンバー】
<川崎フロンターレ>
GK 1 チョン・ソンリョン
DF 18 エウシーニョ
DF 3 奈良竜樹
DF 5 谷口彰悟
DF 2 登里享平
MF 10 大島僚太
(→86分 MF 22 下田北斗)
MF 14 中村憲剛
MF 41 家長昭博
MF 37 齋藤学
(→81分 MF 16 長谷川竜也)
FW 20 知念慶
(→87分 MF 27 鈴木雄斗)
FW 11 小林悠
監督 鬼木達
<ヴィッセル神戸>
GK 18 キム・スンギュ
DF 34 藤谷壮
(→90分 FW 33 大槻周平)
DF 2 那須大亮
(76分 DF 5 アフメド・ヤセル)
DF 25 大崎玲央
DF 22 橋本和
MF 14 藤田直之
MF 7 三田啓貴
(→71分 DF 39 伊野波雅彦)
MF 8 アンドレス・イニエスタ
FW 10 ルーカス・ポドルスキ
FW 16 古橋亨梧
FW 17 ウェリントン
監督 フアン・マヌエル・リージョ