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広島の新守護神に森保監督も注目。
大迫敬介が目指す「特別な存在」。
text by
石倉利英Toshihide Ishikura
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/05/11 11:30
リーグ開幕戦から広島で正GKの座を掴んだ大迫敬介。A代表招集の報道にも「まだ決まったわけではない」と冷静なコメントを残した。
長所は「変わらないところ」。
186cm、86kgの恵まれた体格を誇り、シュートへの鋭い反応や1対1の対応、的確なコーチング、攻撃の第一歩となるフィードなどが大迫の持ち味。一方で澤村GKコーチは、別の部分にも良さを見出している。
「敬介の良さは、いつも変わらないところです。良いときも、そうでないときも、常に物事をポジティブに捉えて、練習と試合に臨めている。だからこそ、回数を重ねるごとに良くなっているんだと思います」
今季の広島はJ1開幕戦で1失点した後、第2節から6節までは5試合連続無失点、7節までを5勝2分けとしてチームも首位に立った。だが8節でFC東京との「無敗対決」に0-1で敗れると、9節、10節も0-1で敗れ、3連敗。7位まで後退する浮き沈みの激しい戦いとなっているが、その状況でも、大迫の姿勢は変わらないと澤村GKコーチは言う。
「良いパフォーマンスをしても、失点しても、ブレずに練習に取り組んでいます。我々は長いシーズンを通してプレーしなければいけない。良かったことは真摯に受け止め、悪かったことは改善するようにやっていけば、どんどん良くなっていくはずです」
失点・敗戦にも、すぐ切り替える。
初黒星を喫したFC東京戦は両チームのシュートが3本ずつ、1試合で計6本はJ1史上最少タイという『守り合い』だった。その中で71分、広島ゴール前でDF佐々木翔のクリアが短くなり、こぼれ球から一瞬の隙を突かれてFWディエゴ・オリヴェイラにシュートを打たれ、決勝ゴールを許している。
「ディエゴ・オリヴェイラがこぼれ球を狙ってくることは分かっていたので、イレギュラーのボールへの準備をもっと早くできていれば、防げない失点ではなかった。でも試合中に失点の原因が整理できたので、気持ちを切り替えることができたし、次のACLもしっかり挑めたと思います」
FC東京戦から4日後、敵地に乗り込んでACLグループステージ第4節の大邱(韓国)戦に臨んだ広島は、1-0で勝利を挙げ、グループ突破に大きく前進。大迫は安定したセービングのほか、正確なスローやキックでのロングフィードでカウンターの起点となるなど、敗戦を引きずることなく勝利に貢献した。