JリーグPRESSBACK NUMBER
目の肥えた日本平のファンが唸る、
清水MF中村慶太のキックと視野。
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/05/11 08:00
開幕からスタメンに定着するなど、清水に馴染んだ中村慶太。第10節鹿島戦ではFKで観客を沸かせた。
サポーターも唸らせるキックと視野の広さ。
中村自身も「ボールをどこに置いても、助走なしで遠くに飛ばせるのは武器だと思う」と話すように、前記したG大阪戦でスタンドの大歓声を誘った大きなサイドチェンジは、まさにストロングポイントの1つだった。
そして、長崎時代から評価されているのが視野の広さだ。清水でも、正確なワンタッチパスでビッグチャンスを演出するシーンにお目にかかる。
「中学時代にボランチをやっていたこともあると思うけど、周囲を見るようにはしている」と自身はとくに気に留めていないようだが、クラブ幹部は「そこが見えていたのかと思うようなところにもパスが出る」と、視野の広さを高く評価。長年試合を見てきたサポーターも「何かやってくれるのでは、というワクワク感がある」と絶賛した。
鹿島戦で見せた新たな武器。
しかし、武器はこれだけではない。
5月3日第10節アウェー鹿島戦。チームは試合開始間もない時間帯に正面やや左から直接狙える位置でFKを獲得。ここでゴール左隅ギリギリへの絶妙なキックを披露したのが中村だった。
反応が遅れた相手GKがゴールラインを割った後に弾き出したようにも見えたが、主審の判定はノーゴール。疑惑の判定で波に乗れなかったチームは0-3と完敗したが、中村は間違いなく存在感を高めた。
「(プロになる前から)いつも他にキッカーがいて、自分が蹴ることはほぼなかった」と本人は話したが、「(昨年の)ルヴァンカップでたまたま任されたら決まったので、そこから蹴るようになった」と、また1つ新たな武器が加わったようだ。
そんな中村の今季の目標は2ケタ得点だ。長崎では昨年7ゴール決めており、自身初の2ケタの大台を視野に置く。そして、その先に掲げるのはチームの勝利だ。
「日本代表というよりも、リーグ優勝がしたい。大学では経験しているけど他ではまだないから」