“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
久保建英、安部裕葵ら不在のU-20W杯。
鍵を握る2年前のイングランド戦とは。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/05/09 17:00
毅然とした態度でメンバー発表会見に臨んだ影山雅永監督(左)。グループステージではエクアドル、メキシコ、イタリアとの対戦を控える。
影山監督が選考で重視したもの。
とはいえ、ポーランドに臨む21名が正式に決まった。この21名を見ると、影山監督が重視した部分が色濃く出た印象を受けた。それは「世界での経験」だ。
前回大会を経験した久保、ACLで厳しいアウェイ戦を経験している安部と大迫を選べなかったことで、Jリーグでの出場経験だけではなく、2017年U-17W杯(インド開催)の出場経験がある選手へと舵をきった印象だ。
メンバーをあげると、GK鈴木彩艶(出場はなし)、DF鈴木冬一、菅原由勢、喜田陽、小林友希、FW宮代大聖、中村敬斗の7人(DF瀬古歩夢は大会直前に負傷、MF斉藤光毅はU-17W杯最終メンバーに入るも怪我で離脱)。彼らはU-17W杯において、グループリーグを勝ち抜き、決勝トーナメント初戦では優勝したイングランドに0-0の大接戦を演じ、惜しくもPK戦の末に敗れた。
ちなみに、この時のイングランドにはマンチェスター・シティで活躍するフィル・フォデンらがおり、まさに当時のこの世代のトップ・オブ・トップだった。
DF陣は'17年U-17W杯組が中心。
筆者が負傷離脱によりDF橋岡大樹を招集できなかったDF陣の選考について質問した時、影山監督は'17年U-17W杯組が7人中4人を占めるメンバー表を見て、こう返答した。
「彼らはU-17日本代表で共にプレーをしてきているんですね、W杯も含めて世界と戦う経験をしてきている選手なので、クラブは違えども、お互いを良く知っている仲。今のコンディションは気になるところですが、試合に出ている選手もいれば、出られなくて苦しんでいる選手もいる。でも彼らだったら、W杯の経験も含めて、グループステージ初戦までにいい状況に持っていけると思っています。そういうことでこのDFの選手たちを選びました」
この言葉からも影山監督が「世界での経験」を重視したのは明らかだろう。
「当落線上」での選出で言えば、大迫とともに正GKの座を争っていた谷晃生が負傷離脱したことで空いたGK枠に鈴木、久保が抜けたFWには中村が、MF安部が抜けた中盤には前線もこなせるDF鈴木が選ばれている。また、菅原、小林、宮代、中村らは所属チームで出番を思うように掴めていないが、あのイングランド戦を含め、世界での場数は間違いなく多く踏んでいる。この経験値に影山監督は大きな可能性を感じ、期待を寄せている。