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トッティ2世と噂の19歳ザニオーロ。
放出インテルが「大失敗」とため息。
text by
手嶋真彦Masahiko Tejima
photograph byUniphoto Press
posted2019/04/24 10:00
トッティの面影をどことなく感じさせるザニオーロ。ローマの新たなアイドルとなれるか。
トップ下かインサイドハーフか。
「最適なポジションはどこなのか」という議論も散見される。トレクァルティスタ(トップ下)だ、いやメッザーラ(インサイドハーフ)だと、こちらも意見は割れている。
傾聴に値するのはルイジ・ディビアージョの見解だろう。イタリアU-21代表でザニオーロを指導してきたこの指揮官は「誰に似ているか? モダンなサッカー選手のプロトタイプであって、つまり誰にも似ていない」と切り出すと、話をこう続けている。
「(ザニオーロは)イタリア人選手というよりはドイツ人選手であるかのようだ。(2014年のワールドカップを制したドイツ代表に)怪物のような選手は1人もいなかった。最高の20人の選手が何を為すべきか知っていて、すべてをやってのけたんだ。私にとってのザニオーロは4-3-3システムの完璧なインテルノ(インサイドハーフ)だ。しかし、実際にはピッチのどこでもプレーできる。特定の役割など与えなくても」
トッティとの比較は“こじつけ”?
周囲のこうした喧噪に、誰よりも戸惑っているのはザニオーロ自身かもしれない。CLのポルト戦で1試合2ゴールを決めた後には、記者との間に次のようなやり取りがあったという。
「新しいトッティだと感じている?」
「いいえ、まったく」
それとは別に、こんな発言も残している。
「(トッティとの比較論は)それこそ“こじつけ”のようなものですよ。比較してもらえるだけで本当に光栄ですが、僕はまだ何ひとつ成し遂げていませんからね」
そもそもザニオーロの名前が知られるようになったのは、ビッグサプライズとなった2018年夏のイタリア代表初招集からだろう。セリエAデビュー前の選手のイタリア代表入りは、マルコ・ベッラッティ(パリ・サンジェルマン)などに続く史上4人目だったという。
そうした特別な経緯もあってなのか、ロマニスタの中には「プレデスティナート」を主張する者もいるようだ。トッティの後継者となるべく「あらかじめ(=プレ)運命づけられていた(=デスティナート)」タレントこそザニオーロだと見なす、いわゆる予定論者の見方とも言える。