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カメラマン視点でGK林彰洋を観察。
首位FC東京の守護神は“熱血長男”。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byYoshiaki Matsumoto
posted2019/04/22 11:40
最後方の林彰洋をさらにピッチレベル後方で見てみると、FC東京での貢献ぶりがよくわかる。
伊藤翔のシュートを顔面セーブ。
試合は前半だけでFC東京が3点をリードするも、後半に入ると鹿島の猛攻を浴びた。それでも1失点のみで逃げ切りに成功した。試合後、長谷川監督はこう振り返った。
「後半1点取られたが、体を張って、やるべきことをやった結果が、2点目を取られなかったことにつながったと思います。仮に2点目を取られていたら、3点目、もしかすると逆転まで持っていかれるようなすごさを、鹿島から感じた」
体を張って、やるべきことをやった象徴的な場面が、後半18分だった。右サイドを突破され、低く鋭いクロスがニアサイドの伊藤翔へ届く。
チームメイトを褒めて、叱咤するのもGKの重要な役割。ただし、最も大事なのはゴールを守ること。ここで林が、魅せる。伊藤がダイレクトで左足を振り抜く直前、ニア側へ1歩、ポジションを移動する。ファーサイドではチャン・ヒョンスが体を寄せていることを頭に入れた、的確なポジショニングだった。
「あのシーンでは相手のFWがちょっと先に触る可能性もあるなと思ったところなので。体が反応してくれたって感じですね」
強烈なシュートを、林が顔面でブロック。ボールはゴールポストの右外へ弾き出された。
「しっかり当てられるように」
顔面に当たったのか、顔面で止めたのか。ゴール後方の看板裏まで響いた“ドフっ”という太く、力強い音を聞くかぎり、意志を持って止めたように見えた。
「避けないようにと。しっかり当てられるようにだけはしたいなと思って」
林の顔面に当たって飛んできたボールにびびって、慌てて避けたゴール裏の素人カメラマンとは大違いである。
4月19日、FC東京はアウェーのサンフレッチェ広島戦に臨み、1-0で勝利した。終盤の広島の猛攻にも、集中力を切らさず。CKが連続しても、この日はニアのスペースを空けることはなかった。
試合を終えると“長男”林が、“弟”たち1人ひとりと握手&ハグ。ついに彼らは、首位に浮上した。