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磐田の成長株はJ3も震災も経験した。
MF松本昌也「コツコツと地道に」
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/04/12 10:30
JFAアカデミー福島出身の24歳。今季は開幕から第6節までスタメンを飾っている。
大分で10番を背負った経歴。
松本は攻撃的なMFとして、4年間プレーした大分トリニータから2017年に加入。前年J3に降格したチームを、同クラブ初となる背番号10の日本人選手として、J2へ押し上げたタイミングだった。
しかし、大分で10番を背負った成長株にも、J1の壁は厚かった。1年目は、リーグ戦先発はわずか2回で18試合出場も得点はなし。2年目の昨年もその流れは変わらなかったが、第23節柏レイソル戦で連敗を止める貴重な先制点を決め、磐田加入後のリーグ初得点を記録した。しかし、この年も先発5回で15試合出場にとどまり、先輩選手を押しのけるまでには至らなかった。
そして迎えた今季。オランダなどでプレー経験があるルクセンブルク代表のロドリゲスが加入し、さらに熾烈なポジション争いが始まった。
新たに与えられたポジション。
ところが追い風が吹く。チームは3バックと4バックを併用するが、開幕前の鹿児島キャンプでは4バック時の右サイドバックを担当し、評価を上げた。自身も「(サイドバックは)初めてだけど可能性があると思う。ストレスもあまりないし、やれる自信がある」と、前向きな姿勢で徐々に道を開いていった。
チームが期待するサイドバック(ウイングバック)の役割も味方した。周囲の選手と自由にポジションを入れ替え、より積極的な攻撃参加が求められたのだ。これまで、前線でプレーしてきた松本には、絶好のチャンスといえた。
移籍後初の開幕戦スタメンを勝ち取った松本山雅戦。
「強い気持ちでいったけど、早めに失点したこともあったが相手に勢いを与えてしまった。攻撃面でもチャンスを作れなかった」
好守に課題は山積みだったが、その後の試合では3バック時でも左右のウイングバックとして起用され、開幕から6試合連続で先発を勝ち取った。
ドローで終えた第5節鹿島戦後には、名波浩監督から「良い守備が良い攻撃につながった典型的なゲーム。ミッションとしていた先制点も奪えた」と、松本を含むチームへの合格点をもらった。とはいえ、まだまだ課題は多い。
「自分のプレーをビデオで見て、足りないところを確認することも多いし、それを補うのは練習への取り組みだと思う。練習や試合で自分の課題を見つけて、そこを改善する意識をしながら次の練習に取り組む。それを続けるだけでも違ってくる」