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磐田の成長株はJ3も震災も経験した。
MF松本昌也「コツコツと地道に」
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/04/12 10:30
JFAアカデミー福島出身の24歳。今季は開幕から第6節までスタメンを飾っている。
震災を経験した学生時代。
成長を続ける松本は、JFAアカデミー福島の出身。16歳の時に東日本大震災で被災した。練習場所がないため、一時的に出身地の大分に戻り地元社会人チームの厚意で練習に参加。その後はアカデミーが移った静岡県御殿場市で卒業まで過ごした。卒業後に加入した当時J1の大分では、J2、J3への降格など、さまざまな経験をしてきた。
「震災を経験したことで、いろいろなことを学ばせてもらった。それが、精神面などに何らかの形で表れているかもしれない。ただ、その経験の中で本当に多くの人に支えられたし、決して自分の力でここまで来たわけではない。特に御殿場で再開できるようになったことは、ありがたさと感謝しかなかった」
そしていま、磐田でもこの街ならではの温かさに接している。
「近くに買い物に行くと、近所のみなさんから『この間のゴール良かったよ』とか『勝利おめでとう』とか、よく声をかけてもらえる。サッカーを好きな方が多く、こちらのモチベーションが上がるし、もっとやらなければと思う」
そのためにも、今以上の活躍で期待に応えようとしている。
ライバルたちの活躍を見て。
松本は'11年にはU-17W杯にも出場し、その後もU-19代表などで日の丸を背負ってきた。
「アンダーの代表時代に一緒だった中島翔哉や南野拓実らが今は日本代表の中心。負けてはいられない気持ちは強い。だけど、いまの自分はあのレベルじゃない。置かれている状況の中で、シーズンを通して結果や質の高さを見せなければ」
そして松本は、こんな言葉で締めた。
「24歳なら、まだチャンスは、なくはないと思う。コツコツと地道にやって徐々に上り詰めていく」
様々な経験をしてきた磐田の成長株が、一歩一歩確実に高みを目指す。