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マスターズ優勝候補たちの共通点。
勝利はneedではなくwantやlove。 

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph byAFLO

posted2019/04/11 07:30

マスターズ優勝候補たちの共通点。勝利はneedではなくwantやlove。<Number Web> photograph by AFLO

マスターズに向かうタイガーの表情は軽く、明るい。ゴルフとはこんなにも楽しいスポーツなのだ。

「さあ、勝つぞと言っているのではない」

 だが、昨年のマスターズの72ホール目でバーディーを奪った瞬間、ファウラーは「これまでで最もメジャー優勝に本当の意味で近づいた」という実感と達成感を感じ取ったという。

「その感触が今でも僕の中に残っている。それが今、僕の大きな自信になっている。去年のマスターズの戦い方、締め括り方に僕はとても満足だったんだ」

 ファウラーはその満足を自信に変えて、今年のオーガスタに携えてきた。

「だから今は、これまでで最も勝つための準備ができている」

 とはいえ、メジャー通算37試合目に挑むファウラーは、もはや勝ち急いだりはしない。

「さあ、勝つぞと言っているのではない。勝てるチャンスがあることがうれしい。そして、オーガスタを愛している。ここなら、きっといいプレーができる。僕はそう信じている」

 そんなファウラーのピュアな想いは、今年こそ、オーガスタの魔女に受け入れてもらえるだろうか。人々の興味は高まるばかりだ。

ウッズ「僕の頭の中には……」

 マスターズ4勝、メジャー14勝を誇る王者タイガー・ウッズも、マキロイ、ファウラーと同じように、マスターズで勝つことは「必要なのではない」と否定し、「ひたすら勝ちたい」と勝利を愛してやまない想いを静かな口調で語った。

 1997年マスターズを圧勝し、センセーショナルなメジャー初優勝を挙げたウッズは、以後、2001年、2002年、2005年大会でも勝利を挙げた。アマチュア時代を含めると、今年はウッズにとって実に22回目のマスターズになる。

「僕の頭の中には、オーガスタの戦い方が小さくて素敵なライブラリーとなって宿っているんだ」

 そう言い切れるところは、ウッズの何よりの強みだ。

 そして、ファウラーが昨年大会の72ホール目の感触で自信を膨らませたように、ウッズは戦線復帰した昨年の全英オープンと全米プロで優勝間近まで迫ったこと、そして最終戦のツアー選手権を制したことが、今、大きな自信になっていると言う。

【次ページ】 43歳で「勝てる気がする」ことの偉大さ。

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リッキー・ファウラー
タイガー・ウッズ

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