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マスターズ優勝候補たちの共通点。
勝利はneedではなくwantやlove。
posted2019/04/11 07:30
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
AFLO
マスターズ優勝者を予想するラスベガスのブックメーカーのオッズを見れば、この欄で昨日お伝えした通り、開幕直前の優勝候補の筆頭は北アイルランド出身のローリー・マキロイでオッズは8倍だ。
昨年大会で惜敗したリッキー・ファウラーは優勝候補の3位に位置付けられ、オッズは15倍。そのすぐ後ろにオッズ16倍でタイガー・ウッズの名前がある。
そんなトッププレーヤーたちの間で、勝利に対する考え方や姿勢の「連鎖」というものは、果たして起こりうるものなのか。それとも、これは単なる偶然なのか。
ともあれ、優勝候補筆頭のマキロイが「マスターズで勝つことが必要なのではない。僕はマスターズ優勝を欲している。勝つことを愛してやまない」と言ったように、ファウラーも、そしてウッズも、マスターズ優勝への想いを「need」ではなく「want」や「love」という言葉で語ったことが、すでに勝利を予感させているように思えてならない。
悔しさと、すぐにこぼれた笑顔。
振り返れば、昨年のマスターズは最後の最後まで手に汗握る展開だった。
72ホール目。ファウラーは難関の18番でバーディーパットを沈め、首位を走っていたパトリック・リードにプレッシャーをかけた。そう、あのときリードは72ホール目でパー以上を取ることが「MUST(不可欠)」になった。
結果的にリードは18番でパーパットを沈め、それがリードのウイニングパットになった。逆にファウラーにとっては1打及ばず自身の惜敗が決まった瞬間だったが、それでもファウラーは微笑みさえ浮かべながら頷き、リードのマスターズ初制覇を潔く祝福した。
「あのとき、もう1ホールあればと、僕は思った」
悔しさをそんな言葉で表したファウラーだが、悔しいながらもすぐさま笑顔になれたのは、悔しさのみならず、とてもいい感触が彼の中に得られていたからだ。
メジャー優勝に何度も近づきながら、どうしても勝てないでいるファウラーは「メジャータイトルなきグッドプレーヤー」と言われて久しい。メジャーチャンプではないのに人気はナンバー1である事実は、彼に「最も過大評価されている選手」などという屈辱的な称号までもたらした。