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マスターズ優勝候補たちの共通点。
勝利はneedではなくwantやlove。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2019/04/11 07:30
マスターズに向かうタイガーの表情は軽く、明るい。ゴルフとはこんなにも楽しいスポーツなのだ。
43歳で「勝てる気がする」ことの偉大さ。
「今、勝てる気がしている」
ウッズは、すでに43歳。29歳のマキロイや30歳のファウラーらとの年齢差は大きい。さらに、膝と腰の手術をそれぞれ4度ずつ経てきたウッズの肉体は、無制限に練習を行える状態には、もはやない。
「昔は何から何まで全部、1日中、練習することができた。でも今は、課題を選びバランスを取りながら、質のいい練習を効率よく行うしかない。全部練習できれば、そのほうがずっと楽だ。今の練習方法は僕にとって新たなるチャレンジだ」
その言葉通りウッズは今年、マスターズ前週の4月3日に一度オーガスタを訪れ、メンバーらと事前視察的に18ホールを回った。
そこで見つけた課題を一旦フロリダの自宅へ持ち帰り、吟味して対策を考えた。
ウッズが口にした勝利宣言。
マスターズウィークの今週、当初の予定を1日早めて7日の日曜日にオーガスタ入りし、ウエッジとパターだけを手にして9ホールを回った。グリーンとグリーン周りだけに絞ったその予定外の練習は、制限のある中でのウッズなりの工夫だった。
そして8日の月曜日はバック9を回り、実戦感覚を磨いた。そうやって可能な範囲内で順を追って準備を重ねてきたウッズは、今、勝利を自ら予感している。
「勝てる気がしている」
それは、ウッズの勝利宣言と受け取っていい。
マキロイ、ファウラー、そしてウッズ。彼らがブックメーカーの優勝予想の上位に挙げられている本当の理由は、彼らの肉体的、技術的コンディションより、むしろ彼らの心の在り方の中にある。
だからこそ、今年こそ――果たして、その想いは実るだろうか。