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松山英樹「1週間もある」の真意。
マスターズで好スタートするために。 

text by

桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2019/04/04 11:30

松山英樹「1週間もある」の真意。マスターズで好スタートするために。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

松山英樹は右肩上がりの調子でマスターズを迎える。チャージが魅力だが、スタートダッシュも重要な試合になる。

「ショットに関してはだいぶポジティブ」

 そうはいっても、今年のマスターズは1年前とはまったく異なる状態で臨めると言っていい。昨年は2月初旬に左手の故障で約1カ月半の離脱を強いられ、準備期間も少なかった。

 状態に波があるこの3カ月を振り返り、松山は各試合のスタートを悲観しながらも「去年までと違って、やることが明確になっている」と言った。

「なんで気づかなかったんだろう……と思うこともある。実は去年もやっていたことかもしれないけれど、意識の持ち方で結果が全然違う。今やっていることを続けてやれればいいなと思います。ショットに関してはだいぶポジティブ。自信と言えるところまで持っていきたい」

 スイング、練習法。方向性が定まってきたことが、自分自身がクリアすべきハードルの高さをおのずと上げている。

タイガーの逆転劇のイメージが強いが。

 最後に数字を紐解く。

 1934年に始まったマスターズで、歴代優勝者のうち第1ラウンドを終えた段階でもっとも順位が悪かったのは2005年のタイガー・ウッズで33位タイだった。当時のトップとの差、7ストロークも1990年ニック・ファルドと並んでワーストだった。

 テレビCMの記憶がある方もいるはずだ。池のそばから打ったチップショットが、大きな弧を描いてグリーン上を滑り、最後のひと転がりでナイキのボールがカップに落ちる劇的なシーンを。赤いシャツでガッツポーズを繰り返したあの場面こそが、史上最大の逆転劇の象徴だった。

 ただし、翌'06年以降のチャンピオンたちはみな、トップ10以内で初日を終えているというデータがある。松山は尻上がりにコンディションを上げられる調整能力の高さを取り戻しつつあるが、グリーンジャケットをまとうためには、やはり出遅れは禁物だ。

「いつもですけど、初日から良いプレーができるように頑張りたい」

 今季何度目かのオープンウィークは、日々眠れぬ夜を過ごしているだろうか。運命の木曜日の行方は、いまはまだオーガスタの魔女のみぞ知る。

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