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松山英樹「1週間もある」の真意。
マスターズで好スタートするために。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2019/04/04 11:30
松山英樹は右肩上がりの調子でマスターズを迎える。チャージが魅力だが、スタートダッシュも重要な試合になる。
初日は負け、最後は世界1位に完勝。
結論から言えば、松山が翌週の試合にエントリーすることはなかった。例年通り、マスターズの前週を拠点のフロリダ、そして週の半ばにオーガスタに移動して調整を続けるルーティンを踏襲した。
ただ、口走った「出るかも」という言葉には、0.1%の本音が混じっていたかもしれない。
マッチプレーで松山は初日にブランデン・グレースに敗れ、2日目のマッチではチェズ・リービーと引き分けた。結果以上に内容が表情をより硬くした。パッティングでチャンスを逃すうちに、勝負所でショットが乱れて優勢だったはずのマッチをドローに持ち込まれた。
大会直前の練習では、好感触を得ていたはずだった。そのフィーリングが試合に入ると途端にどこかへ行ってしまう。松山は今年に入って、似たようなゲームを続けている。
ストロークプレーの出場7試合でトップ10入りが3回あるが、初日に10位以内の好発進を切れたのは1月、ファーマーズインシュランスオープンしかない。どの試合でも第1ラウンド終了時よりも、最終的に順位を上げてフィニッシュしている。
このマッチプレー選手権でも、最後のマッチを勝った。相手はダスティン・ジョンソン。2ホールを残して世界ランク1位を破った。今度は結果だけでなく内容も優れていた。
「1週間もある」という休み明けの不安。
そして彼は2週後の戦いを見据え、独特の言い回しで心境を吐露した。
「残り1週間しかない。……いや、『1週間もある』と言った方が正しいかもしれない。良い状態をキープできるようにしたい。きょう(ジョンソンとのマッチ)、良いプレーができたのでこれを1週間で崩さないように。いつも休んだら悪くなるんで……」
11月半ばから年末にかけての期間を除いて、毎週大会が行われるPGAツアー。長いシーズンを戦うためには休息も欠かせないが、今年はそのオープンウィーク明けの滑り出しに苦しんでいる。