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東京V渡辺皓太、J1昇格と五輪へ。
“小さな巨人”が帰ってきた!
posted2019/03/29 07:30
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph by
J.LEAGUE
幾多のプロを輩出してきた東京ヴェルディの育成組織が、あらためて脚光を浴びている。
先日のキリンチャレンジカップ2019のコロンビア戦、ボリビア戦では、代表経験のある小林祐希(SCヘーレンフェーン)、中島翔哉(アル・ドゥハイルSC)に加え、新たに安西幸輝(鹿島アントラーズ)、畠中槙之輔(横浜F・マリノス)が選出された。
いずれもユースからトップに昇格したのち、巣立っていった選手たちである。
肝心のチームがJ2では喜んでばかりもいられず、もどかしさが募るが、それは本稿の趣旨から外れるためひとまず脇に置く。
気鋭の若手は列を成しており、来年の東京五輪を見据えるプロ3年目の渡辺皓太はそのひとりだ。
フィジカルも、気持ちも強い。
年々、着実に数字を上積みして、昨季は36試合2得点。持ち前の技術とアイデアで多数のアシストをマークし、攻守において欠かせない存在となった。
165センチと小柄だが、易々とは競り負けない身体の強さ。群を抜く俊敏性はトランジションの場面で最大の効力を発揮。ルーズボールの素早い回収、攻めのディフェンスができるのが取り柄だ。「あいつの身体の強さには本当にびっくりしますよ。どこからあのパワーが出てくるのか」と感嘆を漏らしていたのは安西だった。
さらに気の強さもある。
昨年までのロティーナ監督は守備組織の安定を重視し、同点の状況であれば、まずはリスクを冒さないことが徹底されていた。そこで、点を取りにゴール前へと入っていく渡辺に対し、ベンチからは「ポジションに戻れ」という指示が盛んに飛んだが、「このままじゃ引き分けで終わるだろ!」と反発。前に出る果敢なプレーを止めなかった。
「試合になると熱くなっちゃうところがあるので。そういうときは終わったあとにちゃんと話し合って、問題が残らないようにしています」と渡辺は笑う。
自身の成長に一定の手応えを持つ一方、課題はむろんある。
「点に絡むことはできるようになってきたんですが、昨年は試合によって出来の差が大きかった。好不調の波はできるだけなくしていきたいですね。相手がどこであれ、そのときの状況に左右されず、常に安定したパフォーマンスを出せるように」