元徳島・杉本に受けた衝撃。

　昨季のJ2で対戦し、最も衝撃を受けた選手に、徳島ヴォルティスに所属した杉本太郎（松本山雅FC）の名を挙げた。

「巧くて、速くて、強い。ガツンと思い切り身体をぶつけたのに、腕1本で軽く払われたり、腕力で押さえつけられてボールに触れなかった。あんなの初めてでした」

　体格差をものともしない球際の強さを発揮してきた渡辺にとって、ほぼ同サイズの選手に競り負けたことがなおのこと衝撃を大きくしているに違いない。

今季は怪我からのスタート。

　今季はプレシーズンの沖縄キャンプの練習中に左足首を負傷。ようやく復帰にこぎ着けたばかりである。

「五輪代表でポジションを争う選手たちがどんどん海外に進出し、またJ1でレギュラーとして活躍している。片や、自分はJ2で試合に出ることすらできていない。焦りはなくはないです。つなぎの部分や展開力を得意とする選手はいますから、僕はボールをつなぐことができ、かつ高いレベルで攻守に関わるプレーを見せて違いを出していきたい」

　焦りはないと言うものの、同世代の活躍は刺激になっているようだ。

　また、リオデジャネイロ五輪でトレーニングパートナーを務めた経験も東京五輪への意識を強くしている。中でもあるプレーヤーの動きが渡辺の目に留まった。

「川崎の大島（僚太）さん。予測を利かせたディフェンス、アジリティの高さでボールを奪うのがめっちゃ巧かった。攻撃はもちろんスーパーです。攻めの部分ばかりが強調されがちですが、両方ともプレーの水準が高い人」

　攻めてよし、守ってよしの大島は、渡辺の理想とするプレーモデルに近い。実際に対峙することでクオリティの高さを体感した。

【次ページ】　「絶対に入りたい」