【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
調査報告書から読み解くパワハラ問題。
「再出発」に必要なリーダーの存在とは。
text by
![池田純](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/e/90/img_6e1e6f3da6ab5c35ed5a2d626960c3476893.jpg)
池田純Jun Ikeda
photograph byAFLO
posted2019/03/25 07:00
![調査報告書から読み解くパワハラ問題。「再出発」に必要なリーダーの存在とは。<Number Web> photograph by AFLO](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/1/a/700/img_1a4335aa403e0a141e0780ba349d69cf117053.jpg)
既に反省文を提出したという宮川紗江。現在は高須クリニックの支援を受け、徳洲会体操クラブで練習を行なう。
断定しなかった報告書。
まずこの「特別調査委員会」は、'18年12月6日に、協会から完全に独立した公正・中立の弁護士によって構成される第三者委員会が、数カ月に及ぶ当事者や関係者からの聞き取り・調査を経て協会に提出した「調査報告書(報告書Aとします)」を受けて開かれていたものです。
この12月の報告書Aは、塚原夫妻や協会によるパワハラを認定しませんでした。
正確を期すために、調査報告書の中の文言(日本体操協会のHPで読むことができます)を引用します。
ADVERTISEMENT
当委員会は,本件について,塚原夫妻及び協会に,悪性度の高い否定的な評価に値する「パワーハラスメント」があったとまでは断定することはできないと判断したものであるが,塚原夫妻の言動に,安易かつ不適切で配慮に欠けた点があったことは否めない。その点は,反省が求められるところであろう。
また,それ以上に,協会自身の問題点にも大きいものがあった。
繰り返しになりますが、パワハラがあったとまで断定することはできなかったとされ、協会の問題が大きかったとされたこの報告書は、このあと、協会のガバナンス体制の不備に触れ、その対策についての提言を行っています。そして、この報告書Aを受けて、日本体操協会理事・監事を構成員とする特別調査委員会によって作成されたのが、この3月の「調査報告書(報告書B)」、ということになります。
「反省文の提出」の理由。
そこには、宮川選手に「反省文の提出」を提案する理由として、こんなことが書かれていました。
決定的な証拠ない中で「選手とコーチを引き離そうとしている、そこに塚原強化本部長が関わっている」旨の発言は、塚原強化本部長の名誉、信用を著しく傷つけた疑いがある。(原文ママ)
この「名誉、信用を傷つけた疑いがある」ことをして、日本体操協会の倫理規程に抵触する、としています。