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調査報告書から読み解くパワハラ問題。
「再出発」に必要なリーダーの存在とは。 

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池田純

池田純Jun Ikeda

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posted2019/03/25 07:00

調査報告書から読み解くパワハラ問題。「再出発」に必要なリーダーの存在とは。<Number Web> photograph by AFLO

既に反省文を提出したという宮川紗江。現在は高須クリニックの支援を受け、徳洲会体操クラブで練習を行なう。

リーダーの重要性。

 問題の根源は、いずれにしても硬直化した組織、その元となる人事、特にリーダーの人事にあるように感じています。

 健全な新陳代謝と、変化を恐れない覚悟のあるリーダーをきちんと置けるか。そこが、組織の健全性や成長、一般社会が受け入れてくれる団体になっていくための分かれ目になります。

 内規も大切ですが、それ以上に、社会通念、社会の目、社会からの評価、といった基準をもとに、議論や判断を導ける、しがらみのない世界観を持ち込めるリーダーが組織を健全な方向に導くのではないかと、あらためて考えざるをえません。

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 そう考えてしまうのは、私だけでしょうか。

本当の意味での「再出発」

 トップの人事、ということでいえば、定年延長のための内部の制度改定も取り沙汰されたJOCの竹田恒和会長は、贈賄疑惑もあり、今年6月での任期満了をもって退任することが決まったようです。ただし、疑惑については曖昧なまま。結局根本的に何かが解決したのかどうかは、よくわかりませんでした。これからどのような方に、どうバトンが渡されるのでしょうか。

 ちなみに2019年度の日本体操協会の政策方針は「restart(再出発)」です。

 2020年に向けて、さまざまな組織が前のめりになって、足下の問題に目をつむろう、うまくごまかして、現在の組織のトップが「祭りの果実」を享受しよう、と思っているのならば、それは大きな間違いだと私は思います。

 いまからでも遅くはありません。本当の意味での「再出発」をいまこそ、勇気を持って踏み出してほしい、と切に願っています。

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#宮川紗江

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