【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
調査報告書から読み解くパワハラ問題。
「再出発」に必要なリーダーの存在とは。
text by
池田純Jun Ikeda
photograph byAFLO
posted2019/03/25 07:00
既に反省文を提出したという宮川紗江。現在は高須クリニックの支援を受け、徳洲会体操クラブで練習を行なう。
特別調査委員会の構成とは?
この報告書Bを発表した特別調査委員会は、日本体操協会の二木英徳会長をはじめとして、全て協会の上層部で構成されています。
また、報告書Aを発表した第三者委員会の委員長を務める弁護士は、塚原強化本部長の所属である朝日生命と関わりのある会社の顧問弁護士を務めています。以前にそのことをメディアに指摘された弁護士は、「一部報道で誤った内容があります。私が関係する顧問先、これはあくまで私が法律相談をするだけであって、まったくどこからか影響を受けることはまったくない」と否定し、さらに「私は弁護士として、しかも第三者委の独立した立場、これを十分認識している」とコメントしています。
いま、ここに記したことについて、どのように思われるかは、読者のみなさんそれぞれに委ねます。
“とりあえず”の潜在意識。
ただ、この1年、さまざまな“協会問題”で設置された第三者委員会が出した報告書はいずれも、聞き取り調査なども含めてきちんとしたプロセス、手続きを踏んでいて、報告書としての体裁は十二分に整ってはいても、「とりあえずこの辺りの結論へと導けばいい」という「潜在意識」のようなものを、どうしても感じてしまうのです。疑念や疑問の兆しを感じさせない、正々堂々とした分かりやすいものであったことはなかったように思います。
そして、さまざまな協会、団体が下した当事者への処分は、みなさんが処分の対象となる法律違反でも憲法違反でもなく、“内部規程違反”を理由に処分が決定されています。
この内規というのはある意味“都合の良い”言葉です。
内規と言われると外の世界の人はとやかく言う立場にありません。あえていろいろな内規も引用しましたが、そもそもこんな内規が存在していることをきちんと把握している人も少ないでしょうし、往々にしてルールを定めている側が解釈次第でどうとでもとれるように制定されているからです。
どうしてこのような、一般の人がなかなか納得することのできないような処分が下ってしまうのでしょうか。