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「祐希の妹」を脱却し、プロの道へ。
東レ石川真佑の笑顔が弾けた1本。
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/03/24 17:00
3月9日に花巻で行われたファイナル8第3戦の対久光製薬でVリーグデビューを果たした。
成長するために選んだ下北沢成徳。
いくつも声をかけてくれる学校がある中、石川が下北沢成徳を選んだ理由もまさにそこだった。
「やらされてやっているだけではうまくならないし、成長しないと思ったので、自分でこのプレーができるようになりたい、と思うことをやってみたいなって。成徳は選手自身で考えてやっている印象があったし、バレー自体も中学までは速いバレーだったので、オープンもしっかり打てるようにしたかった。
自分で考えて動けるようにならないと世界や、この先も通用することはないと思ったし、自分で考える力はここでしか身につけられないと思って成徳に決めました。最後に勝つことができなかったのは悔いしかないけれど、でも、成徳に入ってよかったです」
高校入学時には23%を越えていた体脂肪率も、3年間のトレーニングと食生活で体も変わり、筋力がついた今は16%をキープ。スパイク時の打力も、強く叩けるようになった手応えがある。
プロ選手としての自覚。
記念すべきVリーグでの初得点も、まさにそんなスパイクだった。
3セット目の6-10の場面で黒後に代わって再び石川がコートへ立った。
前衛に上がり、13-16の場面でコート後方から上がって来た高いトスを、助走でうまくタイミングを合わせながらハードヒットするもレシーブで拾われ、再び返って来たボールを今度はレフトから2枚のブロックに当てて豪快に飛ばし、14-16。
ようやく、笑顔が弾けた。
今はまだ“石川祐希の妹”と言われ、大きな大会のたびに「お兄さんからアドバイスはありましたか」と飽きるほど聞かれる。
だが、高校も卒業し、これからは1人のバレーボール選手として、新生活が始まる。