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大怪我を乗り越えJRA700勝。
三浦皇成のセカンドステージ。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2019/03/15 17:00
中山牝馬Sを制したフロンテアクイーンとJRA通算700勝の三浦皇成騎手。
ジョッキー生命も脅かす大怪我。
ところがそんな折り、大事件が起きた。
'16年8月14日の札幌競馬場。第7レースでモンドクラフトに騎乗すると、直線では先頭に立った。しかし、次の刹那、悪夢に見舞われた。
「馬の脚が折れるボキッという音が聞こえました。落馬すると、後ろから来た馬にぶつかり、その後、息苦しくなりました」
すぐに病院に運ばれた。
「救急車の振動すらキツく感じ、車の中ではずっと『死んじゃう!!』って叫んでいたのを覚えています」
結果、骨盤骨折に加え、肋骨は9本も折れ、そのうち3本が肺に突き刺さるという大怪我だった。
度重なる手術とリハビリを終え、彼が競馬場に戻ってきたのは'17年の8月12日。落馬してからちょうど1年の時が過ぎていた。
「長かったです。歩く事すら出来なかった時は、騎手として復活どころか普通の生活すら出来ないのではないかと不安になりました」
第2の騎手人生、復帰初日に2勝。
しかし、家族を始め、助けてくれる人達や、何よりも自分自身の「ジョッキーとして戻りたい」という強い気持ちが1年後の復帰を実現させた。
復帰初日に2勝を挙げた三浦騎手の、第2の騎手人生がスタートした。
昨年は68勝。怪我によるリタイアで'16、'17年はそれぞれ32、24と減った勝ち鞍だが、すっかりリカバリーしてきた。
いや、しかし、である。元気になると、今度は物足りなさを感じてしまうのも事実だ。
新人年には91勝を挙げ、武豊騎手以来の天才が現れたと思わせた事を思えば、現在の成績に満足してもらっては困る。もちろん彼自身、それはひしと感じている事だろう。