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4階席まで響く憲剛の「受けるな!」
川崎がACLで取り戻した勝ち切り方。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byGetty Images
posted2019/03/14 17:00
途中出場の齋藤が殊勲の決勝ゴール。難ゲームを攻略し、リーグとACLの2冠へ向けて川崎は突き進む。
ジョーカー齋藤学の決勝ゴール。
試合を決めたのは、81分に、最後の交代枠としてピッチに送り込まれた齋藤学だ。
「マリノス戦で出れなかったのはすごく悔しかった」と、3日前の古巣戦をベンチで過ごした思いをパワーに変えた。出場したわずか2分後に、クロスボールのこぼれ球から右足を一閃。本人は「誰のパスだったのかは覚えていないですが、良いところに転がってきた」と苦笑いを浮かべたが、チームにとっては値千金の一振りとなった。
そこからのゲームの終わらせ方は、冒頭で触れた通りである。そして苦しんで掴んだ勝利だからこそ、チームとして見えてくる未来もあるのだろう。中村憲剛が口にする。
「過密日程でいろんな選手が出る中で、勝つということ。みんなでカバーしながら、進むしかない」
たかが1勝、されど1勝である。
リーグとACLという両方の頂を目指す挑戦の難しさを、開幕早々の1カ月で嫌というほどに味わった。
この初勝利の余韻をかみしめることなく、週末にはリーグ戦が控えている。息つく間もない戦いだが、産みの苦しみがあったからこそ、王者が手にしたこの1勝には大きな価値があるはずだ。