酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
4番が主砲、を覆す2番打者最強説。
打点で見ると日米の差がくっきり。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2019/03/05 11:30
原辰徳監督が2番構想を示している丸佳浩。カープ時代は主に3番打者だったが、打順変更でどうなる?
2番は「つなぐ打者の打順」。
日本の「打線」とは、4番、3番を中心に富士山のようなシルエットを描くものだとされてきた。昭和の時代、よく会社の営業会議などで一番稼ぐ社員を「わが社の4番打者だ」と部長が持ち上げたが、野球界はその意識がそのまま続いている。
もう1つ、気づくのは2番打者の打点数が1番より少ないチームが西武、オリックス、楽天、巨人、中日、阪神と6球団あること。
「2番」は「つなぐ打者の打順」だとされた。出塁率が高く足も速い「1番」が塁に出て、これをバントか、進塁打で二塁もしくは三塁に進めるのが「2番」の役目、長打がなくてもいい。打点も期待しない。そういう指揮官の意図があるから2番打者の打点はへこむのだろう。
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西武は源田壮亮、オリックスは福田周平、楽天は茂木栄五郎、巨人は吉川尚輝、中日は京田陽太、阪神は北條史也。2番がへこんでいる球団の主な2番打者には、「つなぐ打者」が並んでいる。全員が、内野手でもある。
NPBの打線は日本野球の「伝統のストーリー」にのっとっているのが多数派だ。
2番最強打者説という異論。
しかし近年、この「ストーリー」に対する「異論」が出ているのだ。
野球は先制点が大きくモノを言う。様々なデータが出ているが、一般的に初回に得点したチームの勝率は6割を超すという。初回に2得点すれば勝率は7割近く、3得点では8割近くに達するという。
今のNPBで一般的な「富士山型」のオーダーも、もちろん先制点狙いで組まれているが、それは1番が出塁して2番が送る。そして3、4番でタイムリーを打つというパターン。1点を先制して、それを投手力で守り抜くイメージだ。
しかしMLBでは、初回をビッグイニングにして、試合運びを有利に持ち込みたいという考えが主流になりつつある。
初回をビッグイニングにするには、一番良い打者が確実に初回に打席に立つ必要がある。できれば2死より1死がいい。しかし走者がいないとホームランを打っても1点しか入らない。
そういうことを勘案して「2番最強打者」という考え方が出てきたのだ。