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シジマールが語る日本人GK問題。
「人材はいる。必要なのは愛なんだ」

posted2019/03/03 11:30

 
シジマールが語る日本人GK問題。「人材はいる。必要なのは愛なんだ」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

日本中が夢中だったシジマールの“クモ男”ポーズ。今は藤枝MYFCで次世代のGK育成に取り組んでいる。

text by

松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

PROFILE

photograph by

Asami Enomoto

NumberWebでは、Jリーグ2019開幕に合わせて「Jリーグ史上最高の外国人選手は誰だ!」というテーマでアンケートを行いました。
2月6日から2月20日までの15日間で集まった票は2127。
集計の結果、GK部門でダントツの1位に輝いたのは、シジマール。
731分連続無失点という、いまだ破られていないJ1最長記録を持つJ史上最強GKを訪ねた。

 練習開始予定は、15時。現在、14時40分。ちょっと早く着きすぎたかなと思っていたら、すでに藤枝MYFCの練習場には“クモ男”の声が響きわたっていた。

「はいっ!!」

 よく通る太い掛け声とともに、シジマールGKコーチが杉本拓也、大畑拓也、城森康誉に向かってクロスを蹴り込む。最適なタイミングで飛び出し、柔らかくキャッチした選手には、全力の褒め言葉とビッグスマイルが送られた。

 練習終了後、ゴールマウスの前で両腕を大きく広げる“クモ男”ポーズでの写真撮影をお願いした。この日の気温は10℃を下回っている。撮影を終えて、チームスタッフがベンチコートを差し出すと、シジマールは首を横に振った。

「イシザキ監督、コート着テナイ。ダカラ、僕モイラナイ」

 石崎信弘監督がジャージ姿でまだグラウンドにいるのだから、GKコーチの自分がコートを着るわけにはいかない。上下関係と礼儀は、誰よりも重んじる。

 日本人よりも、日本人っぽいですね。こう伝えると、シジマールはにっこり笑った。

「サムクナイ、ゲンキ、ゲンキ。ダイジョウブ」

日本のGKは人材不足なのか。

 クラブ事務所に場所を移して、じっくりと話を聞いた。来日した'93年当時のJリーグの熱狂、恩師エメルソン・レオンとの思い出、“クモ男”ポーズの由来などなど。最後に、指導者シジマールにぶつけたい質問があった。

 ここ最近、日本人GKの人材不足が指摘されています。実際、今季もJ1リーグ18クラブのうち、7クラブが外国人選手に正GKの座を託しています。ご自身も元「助っ人GK」であり、現在は日本人GKを指導する立場のシジマールさんは、この状況をどう感じていますか?

 日本語のヒアリングはほぼできる。通訳が訳し終えないうちに、シジマールは前のめりで語り始めた。

「日本にも良いGKがたくさんいます。そして私たちGKコーチは、日々、世界中の情報を集めて、GKのトレーニング方法を研究しています。大事なのは、素質を持ったGKをトレーニングによってどう伸ばすか。そして、“愛情”が必要です」

【次ページ】 信頼関係ができれば、選手に気持ちは伝わる。

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