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弱い体質、遅いデビューからGI馬に。
インティと武豊の丁寧な出世街道。

posted2019/02/22 16:00

 
弱い体質、遅いデビューからGI馬に。インティと武豊の丁寧な出世街道。<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

7連勝でGI馬まで上り詰めたインティ。ルヴァンスレーヴとのダート頂上対決は実現するだろうか。

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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Satoshi Hiramatsu

 2月17日、東京競馬場で行われたフェブラリーS(GI、ダート1600m)。今年、最初となるJRAのGIレースを制したのは武豊騎手騎乗の1番人気馬インティ(牡5歳、栗東・野中賢二厩舎)だった。

 同馬がデビューしたのは2017年4月8日。当時3歳。この年の皐月賞が行われたのは翌週の4月16日だから、同期の出世頭達がクラシックを目前に控える時期に、ようやく初出走にこぎつける事が出来たわけだ。

「とにかく体の弱い馬でした」

 そう口を開くのは野中調教師だ。

「体質が弱くてなかなか順調に使えませんでした。初戦(9着)は両トモ(後ろ脚)を落鉄し、レース後は歩けなくなるくらい(体質が)弱かったです」

 それでもその弱点をカバーするだけの素質で2、3戦目を連勝。しかし、そこで1年近い休養を余儀なくされ、復帰戦となった昨夏の4戦目から鞍上に武豊騎手を迎える事になった。

武豊を背に階段を一段ずつ。

「まだまだ出来上がっていない馬という事は聞いていました。そんな中でも1戦ごとに強くなっていくのは感じたし、体質の強化と共に走りも良くなっていきました」

 天才騎手がそう言うように、以降、快進撃を続けた。武豊騎手を背に500万、1000万、1600万と条件戦を一段ずつ上って行った。

「本当に少しずつ良くなっていく感じでした。だから一気に上のクラスを狙うような事もしなかったのだと思います。僕は競馬で乗るだけですけど、スタッフがよくやってくれているというのはすごく感じました」

 こうして迎えた前走が初の重賞挑戦。この東海S(GII)も優勝。ついにGIに駒を進める事になった。

【次ページ】 「苦労した馬なだけに感慨深い」

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